10月にオープンした京都のニンテンドーミュージアムは、外国人が押し寄せる京都にさらに拍車をかける存在になりつつある。場所は元任天堂の工場があった小倉の跡地で、平等院鳳凰堂で有名な宇治から一駅、近鉄小倉駅の近くだ。
ミュージアムを訪れたのはオープンからほぼ1カ月が過ぎた11月初旬だったが、親子連れはもちろんのこと大人同士、さらに外国人で満員盛況だった。入場には予約が必要で、時間帯ごとに人数制限があるのだが、例えば午後2時半の入場を予約しても2時半になるまで外で待ち、さらに館内の混雑を見ながら少しづつ中に案内される、という形式だった。
まず驚いたのは予約の名前を確認するための身分証明が厳格だったことだ。免許証、マイナンバーカード、パスポートなどはOKだが、社員証のような顔写真のないものは受け付けてもらえない。転売などへの防止策と思われる。
写真を無料ダウンロード
中に入ると、まず庭園部分にマリオの土管などを実物大に配したフォトスポットがあり、館内ではキノピオブラザースと写真を撮れるサービスがある。写真、というのはミュージアムの重要なポイントのようで、テーマパークのような遊びのコーナーでは遊んでいる写真が自動的に撮影され、後日「My Nintendo」のウェブサイトから無料でダウンロードできる(体験する前に、撮影の可否を選択することができる)。
よくテーマパークなどでアトラクション中の写真撮影があり、有料で販売するところがあるが、無料で写真をダウンロード、というサービスは画期的とも言えるだろう。
ただし全体の印象としては、ここがミュージアムなのかテーマパークなのか、という定義がはっきりしない。入場者はまずエスカレーターで2階に誘導され、そこがミュージアムの中心となる。そこには百人一首や花札、ボードゲームなどを作っていた時代から現在のビデオゲームまで、任天堂が作ってきたすべてのゲームが展示されている。またこのコーナーは原則撮影禁止だ。
多くの人にとって、本当に懐かしい、と感じるのはファミコンから始まるビデオゲームの歴史だろう。かるた系や普通の玩具などを任天堂が作っていた、という事実を知らない人が大半だと思えるからだ。
ここにはかつての小倉工場の写真などの展示もあるが、ミュージアムを強調するなら映像などで任天堂の歴史を紹介するコーナーがあっても良かったのではないだろうか。様々なゲームコンソールと発売されたゲームカセットのすべてが展示されているので、それだけでも見ごたえはあるが、メイン展示だけにもう少し工夫があっても良かった、というのが正直な感想だ。