2024年12月21日(土)

WEDGE REPORT

2024年10月17日

テスラ「ロボタクシー」(提供:Tesla、以下同)

 テスラが8月に予定されており2カ月延期となったロボタクシーについての発表を10月10日に行った。会場は広大な敷地を持つ映画セットの中で、実際に持ち込まれた20台のロボタクシーに参加者が試乗できたり、テスラが作るヒューマノイド型ロボット、オプティマスがダンスを披露したりバーでサービスを行うなど、まさにパーティムードだった。

 肝心の自動運転車両、ロボタクシー(イーロン・マスク氏はサイバーキャブ、と表現)だが、流線型のクーペスタイルで、スイング式の2ドアだが4人が乗車できる、という。ハンドルやアクセル、ブレーキはなく、自動運転での移動のみを目的としている。これに加え20人乗りのロボバンの紹介も行われたが、こちらも流線型のデザインで「未来は未来らしく見えるべきだ」とマスク氏はコメントした。

 実際の航続距離、スピードなどのスペック紹介はなく、価格のみが「3万ドル程度」と発表され、リリース時期はマスク氏によると「2026年中、おそらく2027年になるまでに」とやや怪しい返答だった。ただし実際にこのロボタクシーが採用された未来については能弁で、「想像してみてほしい。空港やショッピングモールなどの巨大な駐車場が必要でなくなり、その土地が公園として機能する都会の姿を」などと語った。

 ロボタクシーは3万ドル、という価格で一般への販売が基本となる。つまりテスラとしてはアルファベット傘下のウェイモやGM傘下のクルーズのようにタクシー業務を自社で行うつもりはなく、購入した人々がライドシェアとして自分の車を空いた時間にタクシーとして運用する、といった形式を想定しているようだ。また、空港などに移動する場合、自車で移動して降りたら車は自動で自宅に引き返す、到着時にもリモートで車を呼び出す、といった使い方も考えられる。

3万ドルで自動運転車両が本当に販売できるのか

 まずここで疑問なのは、3万ドルで自動運転車両が本当に販売できるのか、という点だ。例えばウェイモの場合、車両は韓国現代自動車のものを購入する、と報道されているが、それに加えて自動運転システムを搭載するのにおよそ20万ドルが必要、と言われている。つまり自動運転のタクシー1台のコストはおよそ25万ドルになる。テスラが提唱する価格との開きはあまりにも大きい。

 この点について、マスク氏はロボタクシーの自動運転は同社が提供するFSD(フルセルフドライビング)ソフトを高度化したものであり、現在の車からそれほど変わらない、と強調した。これを裏付けるため、来年からカリフォルニアとテキサスでモデル3とYについて「政府規制に基づいた完全自動運転走行が可能になる」とも言及した。だとするとロボタクシーはモデル3やモデルYの後継となる廉価版EVであって、FSDによって自動運転を展開するのか? と疑問を持たざるを得ない。


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