2024年11月21日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年10月30日

 2024年10月4日付のフィナンシャル・タイムズ紙は、退任したストルテンベルグ前北大西洋条約機構(NATO)事務総長のインタビュー記事を掲載している。

ストルテンベルグ前NATO事務総長(dvids)

―ウクライナ支援について

「我々はウクライナにもっと多くの軍事支援をもっと早く提供すべきだった」「(ロシアの)侵攻の前により多くの兵器を与えるべきだった。そして、侵攻後は、より多くの先進兵器をより早く与えるべきだった」「我々が成し遂げたことを誇りに思っているが、もっと早く始めてれば、大きな強みとなっていただろう。侵攻を阻止出来たかも知れないし、少なくともロシアがやったことを達成することをずっと困難にしただろう」。

―プーチンはウクライナに対するNATOの支援はNATOを紛争の当事者となし、NATOは攻撃(潜在的に核兵器を含む)の対象になり得るとの警告を強めて来た。

「侵攻の初めには、我々は何週間もロシアのレッドラインの問題を議論し対処する必要があった」「ウクライナに対する支援を止めることに代わる選択肢となると、実のところオプションたり得ない」「自分はプーチンがでっち上げたレッドラインを越えることを強く主張した。我々はその多くを超えたが、プーチンは何もしなかった。プーチンが大量破壊兵器を使ってエスカレートしたければ、彼は口実を作れた。我々は彼のハッタリに挑戦して来た」。

―トランプ前大統領との関係について

「どれ程大きく彼と意見を異にしても、我々は米国の大統領に敬意をもって接するべきである」「NATO首脳会議を取り止めることを提案した同盟国もあった。私は、その反対をすることを決定した。トランプの下でNATOが崩壊する可能性が10%なのか90%なのかは、我々がやる必要のあることを変えるものではなかった」。

―ロシアによるウクライナ侵攻を確信したのは何時か

 「2021年の秋半ばである。それは、米国がロシアの大規模な軍事力増強のインテリジェンス報告を公表するほぼ1カ月前に当たる。しかし、マクロンやショルツのように説得されない同盟国もあった。根本的には、見解の相違は事実についてではなく、インテリジェンスだった。意図についてだった。自分は彼等に可能性が90%か10%かは問題ではない。我々は備えが必要だと告げた」。


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