2024年12月4日(水)

BBC News

2024年12月3日

BBCは3日、世界に影響を与えたり、人を奮い立たせたりしてきた女性をたたえる、2024年の「BBC 100 Women(100人の女性)」を発表した。

日本からは、コメディアンの渡辺直美さんと、旧優生保護法をめぐる損害賠償裁判の原告の1人、鈴木由美さんが選ばれた。

ほかに、インターネットで夫が募った数十人に強姦された事件について公判に出廷し続け証言してきたフランスのジゼル・ペリコさん、国際宇宙ステーションで長期滞在を重ね、現在も足止めされているアメリカのスニータ・ウィリアムズ飛行士(来年2月に帰還予定)、武装組織「イスラム国」(IS)の性奴隷とされた体験を実名で告発し2018年にノーベル平和賞を受賞したイラクの活動家のナディア・ムラドさん、2021年にアジア系女性監督として初めて米アカデミー賞監督賞を得た中国出身のクロエ・ジャオさん、新型コロナウイルスのワクチン開発につながった遺伝物質「mRNA」研究で2023年にノーベル生理学・医学賞を得たハンガリー人のカタリン・カリコ博士などが、それぞれ選ばれた。

ほかにも、ミャンマー軍政に反対し、終身刑判決を受けているドキュメンタリー映画監督のシン・デヴィさんや、女性の発言権が失われているアフガニスタンの女性を鼓舞する応援歌を発表したアフガニスタンの歌手・作曲家エラハ・ソロールさん、イラン政府に弾圧されてきた作家シャアルヌシュ・パルシプルさん、各地で性暴力の被害者を支援したり、貧困対策や少数者の権利推進に取り組んだりしている人たちなどが選ばれた。

2024年にはパレスチナ・ガザ地区、レバノン、ウクライナ、スーダンなど世界各地で紛争や人道危機が相次いだほか、かつてないほど多くの選挙が各国で行われ、一部で社会の分断が進んだ。こうした中で女性たちは、これまでになく自分と深く向き合い、自分の中にあるたくましいしなやかさを見つけ出す必要があった。

「BBC100 Women」は、変化を求めて前に進もうと取り組む女性100人をたたえることで、同じようにたくましくしなやかに変化を求めてきた数多くの女性たちが、今年いかに大変な思いをしてきたかを強調している。

渡辺直美さん、コメディアン

日本有数のインフルエンサーの一人。渡辺直美さんは、日本で次世代の女性コメディアンが活躍する道を切り開いてきた。

男性が圧倒的に優位な日本のお笑いの世界で、渡辺さんはバリアを壊し、コント番組を作り出し、主演してきた。

渡辺さんはコメディの世界で活躍するほか、女性の容姿に対する日本社会の固定概念の変化に貢献している。「ぽっちゃりしてかわいい」ことを評価する「ぽちゃかわいい」という感覚で、自分の体を肯定する運動の先頭に立ってきた。

「プラスサイズ」の服を提供するファッションブランドを立ち上げ、日本でさまざまなサイズの服を展開する動きも推進している。

渡辺直美さん

「どうすれば、たくましくしなやかでいられるか? 私はいつもこう考えるんです。『私のことが嫌い? いいですよ。1年もらえますか。その間にもしかしたら、違う風に思ってもらえるかもしれない』。いつもそういう風に考えています」

鈴木由美さん、強制不妊手術の損害賠償訴訟原告

先天性の脳性まひがある鈴木由美さんは、幼いころから差別を経験してきた。12歳の時には、子宮摘出手術を受けさせられた。

日本では1950年代から1990年代にかけて、当時の優生保護法のもと、鈴木さんをはじめ障がいのある多くの人が、不妊手術を強制された。同法は1996年になってようやく改正され、名称も変わった。障がい者への強制不妊手術など、優生思想を背景とした条文は削除された。

鈴木さんのほか38人が日本各地でこの旧優生保護法をめぐり訴えを起こした結果、今年7月に最高裁判所は同法を違憲とする判断を示し、国に損害賠償を命じた。

日本政府の調査では、旧優生保護法による強制不妊手術を受けさせられた被害者は約1万6500人に上る。

(英語記事 BBC 100 Women 2024: Who is on the list this year?

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c047p9d02k9o


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