フィナンシャル・タイムズ紙が11月19日付けで「ウクライナへのバイデンの遅過ぎるミサイル許可。同盟国はトランプ政権成立前に彼らができる支援のすべてをキーウに与えるべきである」との社説を掲載している。その論旨は、次の通り。
キーウが米製長射程ミサイル(ATACMS)を使ってロシアを攻撃することを米国が許可したことは歓迎できるが、もっと早ければ、そしてより少ない制約であれば、もっと良かっただろう。
許可はウクライナが占領中のクルスク地方についてのみ当面与えられると報じられている。トランプ大統領の就任までにウクライナの戦場での立場を強化しようとする米国と同盟国のより広範な努力の一要素であるべきである。
トランプが大統領に就任後、ウクライナでの戦闘を終わらせるとの誓いはそれまでの数週間をもっと危険なものにする。双方とも交渉を前に自分の立場を強めるために戦うだろう。ロシアは既にエネルギー・インフラの爆撃を強化している。
正しい決定に至るまでにあまりに長く手間取ることでバイデン政権が優柔不断であるように見えるのは不幸である。バイデン政権は最近まで、ウクライナにロシア内部を攻撃する許可を与えても、ロシアはキーウが攻撃したいとしている爆撃機を射程外に移動させたので余り効果はないと主張してきた。
しかし、武器や燃料の貯蔵庫、指揮統制や兵站施設を含む重要なその他の軍事目標は、ウクライナの無人機よりも西側のミサイルでこそ、ずっと効果的に攻撃出来る。またバイデンの決定は、バイデン政権は何もせずトランプ政権を待つことはしない、とのメッセージをロシア側に送る。
モスクワは核ドクトリンの修正を含む威嚇を、米国を抑止するために行ってきた。如何なるウクライナの能力強化にもロシア反発のリスクがある。
モスクワはホーシー派等への武器供与、秘密の破壊活動の強化をするかもしれない。しかしすぐにエスカレーションの階段を駆け上がることはありそうにない。