Economist誌11月9日号が、ウクライナはぎりぎりの生命維持の継続か、それともルール破りのワイルドカードの大統領か、との選択に当面し、トランプに賭けてみる気になっていた、という記事を掲載している。要旨は次の通り。
トランプのホワイトハウスへの返り咲きはウクライナにとり悪夢のように見える。トランプは一貫してプーチンの侵略を非難することを拒否して来た。彼はかつて軍事支援を停止することによってウクライナを恐喝しようとした。従って、ウクライナの多くの高官がトランプの勝利を望んでいたとは大変な驚きである。
それはウクライナでこの数カ月物事が如何に悪化したかの徴候でもある。ぎりぎりの生命維持の継続か、それともルール破りで援助をほぼ間違いなく削減するであろうワイルドカードの大統領か、との選択に当面し、彼らはギャンブルをやってみる気になっていた。
ゼレンスキーとそのスタッフは、バイデン政権の「自己抑止」に内々苛立ちを強めていた。米国製長距離ミサイルによるロシア領内の攻撃を米国が認めようとせず、その軍事援助の供給が慢性的に遅延し、確固とした安全の保証を米国が提供出来ないでいること、これらは弱さであり偽善だと見られるようになっている。
選挙戦中にトランプは24時間以内に戦争を終わらせると約束した。彼の和平計画の構成がどういうものか誰にも分からない。目下、ウクライナの当局者は公になっている二つの案を基に検討している。
第一は、副大統領になるJ・D・ヴァンスが関わっているもので、紛争は現在の前線で凍結、ウクライナは何らの安全の保証もプーチンに対する抑制もないまま中立を余儀なくされるというものである。
第二の案はトランプ政権の国務長官だったマイク・ポンペオがウォールストリート・ジャーナル紙に書いたもので、北大西洋条約機構(NATO)加盟の可能性を残す一方、モスクワに対する抑止として軍事・財政支援の強化に焦点を当てている。ウクライナ当局はこちらの案を大いに好んでいる。