2024年12月5日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年11月28日

見えないゼレンスキーの取引

 トランプに賭けるのは分かるとしても、ゼレンスキーはトランプとどのような取引が出来るのか?予断を許さない危うい戦況にあり、プーチンに対してはもとよりトランプに対してもゼレンスキーの立場は脆弱である。

 この記事によれば、ウクライナはマイク・ポンペオが去る7月にウォールストリート・ジャーナル紙に投稿した案を基に検討しているらしい。ポンペオの案がトランプの考え方を反映しているかは疑わしいが(トランプは彼を次期政権に招かないことを明らかにしている)、ウクライナに降伏を強いることはトランプの政策ではないと彼は書いている。

 バイデン政権とは違って強さを通じた和平を追求するとして、ロシアのエネルギー収入を削ぐことなど、そのための施策を述べ(ウクライナが取得する兵器の種類とその使用に対する制限の解除も含まれている)、ウクライナのNATOと欧州連合(EU)への加盟を視野に入れ、欧州が平和維持により多くの負担を担うことを想定している。少なくとも、この案には24時間以内の戦争終結の目標とは時間的なズレがある印象である。

 いずれにせよ、プーチンの出方という問題がある。戦況はロシアに有利に推移しており、トランプの就任までの2カ月の間にウクライナを更に徹底して叩く作戦に出る危険が大きいように思われる。

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