アメリカのドナルド・トランプ次期大統領は22日、アメリカが1900年代初頭に建設し、現在は中米パナマが全面的な管理権を得ているパナマ運河について、「法外な」通航料を請求していると同国側を非難し、通航料を引き下げるか、アメリカの管理下に戻すよう訴えた。
トランプ次期大統領はアリゾナ州での支持者集会で、「パナマが請求している(通航)料金はばかげていて、非常に不公平だ」と、語った。
そして、来月大統領に就任するのをふまえ、「このような我が国に対する完全なぼったくりは、直ちに止まるだろう」と述べた。
パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領は、トランプ氏の発言を即座に非難。パナマ運河とその周辺地域はすべて、自国のものだと主張した。
そのうえで、パナマの主権と独立について交渉の用地はないと述べた。
トランプ氏はこの日、今年の大統領選で同氏を強力に支援した保守派活動団体「ターニングポイントUSA」の支持者たちを前に、パナマ運河について発言した。
アメリカの指導者が、他国に対して領土の一部を引き渡すよう働きかける可能性があると発言するのは異例だ。トランプ次期大統領は、実際にどのような方法でそれを行うのかは説明しなかったが、来年1月20日の大統領就任式後にアメリカの外交政策や外交がどのように変化し得るのかを示す発言となった。
パナマ運河をめぐっては、トランプ氏は前日に、アメリカにとって「重要な国家資産」だとソーシャルメディアに投稿していた。
トランプ氏はこの日、パナマ運河の通航料が引き下げられなければ、「パナマ運河を全て、速やかに、問答無用で返還するよう、我々は要求するだろう」と述べた。
また、カナダとメキシコにも批判の矛先を向けた。同氏はかねてから、カナダやメキシコとの間で不公正な貿易慣行があるとしている。メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領のことを「素晴らしい女性」としつつ、麻薬や移民をアメリカに流入させていると非難した。
パナマ運河とは
全長約82キロメートルのパナマ運河は、中央アメリカの一部を横断して大西洋と太平洋を結ぶ交通の要衝。
アメリカは建設後、1977年まで運河地帯の管理権を維持していた。その後、共同での管理期間を経て、1999年にパナマが全面的に管理するようになった。
自動車や天然ガスなどを運ぶコンテナ船や軍用艦など、年間最大1万4000隻が通航する。
(英語記事 Trump threatens to try and regain control of Panama Canal)