ロシア国防省は5日、ウクライナ軍が南西部クルスク州への新たな攻勢を開始したと発表した。
ロシア国防省は、ウクライナの攻撃部隊を破壊するため、努力を続けていると説明。ウクライナの高官も、作戦が進行していることを示唆した。
ウクライナは昨年8月にロシアのクルスク州に初めて越境攻撃を行い、現在も一部を掌握している。
ロシア軍はここ数カ月でウクライナ軍を押し返し、この地域の多くの部分を取り返したものの、ウクライナ軍を完全に排除できていない。
ロシア国防省はメッセージアプリ「テレグラム」に投稿した声明で、「モスクワ時間午前9時ごろ(日本時間5日午後3時ごろ)、クルスク方面でロシア軍の攻撃を阻止するため、敵が戦車2両、対障害物車1両、装甲戦闘車12両からなる急襲部隊による反転攻勢を開始した」と説明した。
複数のロシアの軍事ブロガーらも、この攻撃について詳細を書いている。それによると、ウクライナ軍はスジャにある基地からベルディン村やボルショエ・ソルダツコエ村の方向へ攻撃を展開した。ボルショエ・ソルダツコエは、クルスク市へ向かう途中にある地区の中心。
ウクライナ大統領府のアンドリイ・イエルマーク長官は「クルスク州から良い知らせがある」、「ロシアは相応の報いを受けている」と語った。
対偽情報部門のトップ、アンドリイ・コヴァレンコ氏はテレグラムへの投稿で、「クルスク州のロシア人は、複数の方角から突然攻撃され、大きな不安に襲われている」と述べた。
ウクライナの攻撃が、前線を大きく変えるほど大規模なものかどうかは不明だ。
ロシア人ブロガー、ユーリ・ポドリャカ氏は、陽動作戦である可能性を指摘。アレクザンデル・コッツ氏も、別の場所で主要な攻撃が始まっている可能性を排除しなかった。
ウクライナ軍は人員不足に悩まされており、ウクライナ東部ではここ数カ月、ロシア軍の前進によって領土を失っているとされている。
5日にはウクライナ空軍が、ロシアがウクライナ各地に夜間のドローン(無人機)攻撃を行ったと発表したばかりだった。
同空軍は、キーウ、ポルタヴァ、スーミ、ハルキウ、チェルニヒウ、チェルカシ、ドニプロペトロウシク、ジトーミル、フメリニツキーの各州で、合わせて61機のドローンを撃墜したと発表した。
また、直撃はなかったものの、北東部ハルキウ州では撃墜されたドローンによって住宅数軒が損害を受けたという。
ウクライナは11月、クルスク州で北朝鮮兵と交戦したと発表した。
北朝鮮兵の投入は、8月にウクライナ軍が国境を越えて行った奇襲攻撃に対する反応だった。ウクライナ軍はこの時、ロシア領内で最大30キロ前進した。
ロシアは国境沿いの地域から約20万人を避難させた。ウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナの攻撃を「重大な挑発」と非難した。
2週間後にはウクライナの最高司令官が、ロシア領内の1200平方キロ以上と93の村を支配していると主張した。
その領土の一部は、ロシアがすでに奪還した。
(英語記事 Ukraine launches new offensive in Russia's Kursk region)