中国西部のチベット地方で7日朝、大規模な地震が発生し、中国国営メディアによると、8日朝までに死者は少なくとも126人、けが人は同188人に上っている。倒壊した建物は3000棟以上とされ、厳しい寒さの中、大規模な救助活動が進められている。
米地質調査所(USGS)のデータによると、現地時間の7日午前9時(日本時間同午前10時)ごろ、チベット自治区シガツェ市でマグニチュード(M)7.1の地震が発生。震源の深さは10キロだった。一連の余震も観測されている。
中国の国営メディアは、この地震の規模をUSGSよりやや小さいM6.8と報じた。また、7日午後7時の時点で建物3609棟の倒壊が確認され、何千人もが住居を失っている可能性があると伝えた。
隣接するネパールやインドの一部でも、揺れが感じられた。
この地域は主要な地質断層線上に位置しており、地震が頻発している。
シガツェ市はチベット仏教の聖地の一つとされ、重要人物パンチェン・ラマの伝統的な居住地でもある。パンチェン・ラマの精神的権威は、最高指導者のダライ・ラマに次ぐものとされる。
中国中央電視台(CCTV)が公開した動画には、破壊された家屋や倒壊した建物が映し出されている。また、救助隊ががれきの中を歩き回り、地元住民に厚手の毛布を配っている様子も映っていた。
中国気象局によると、震源地に近いティンリ県のこの日の気温は日中でもマイナス8度前後で、夜にはマイナス16度まで下がると予想された。
この地域では電力と水道が途絶している。
震源地に近い同県は、エベレスト登山を準備する登山者に人気の拠点となっている。
現地メディアは観光スタッフの話として、7日朝に予定されていたティンリからのエベレスト観光ツアーはすべてキャンセルされ、観光エリアは完全に閉鎖されたと報じた。
当時、観光エリアには3人の訪問者がいたが、全員が安全のために屋外エリアに移動したという。
中国地震台網センターの蒋海昆氏はCCTVに対し、マグニチュード5程度の地震が再び発生する可能性はあるが、「より大きな地震が発生する可能性は低い」と述べている。
シガツェ市内のホテルに滞在していた男性は、中国・封面新聞の取材に対し、揺れで飛び起きたと語った。靴下をつかんで外に飛び出すと、上空を旋回するヘリコプターを目撃したという。
「ベッドまで持ち上げられるような感じだった」とこの男性は語り、最近チベットでは小規模な地震が頻発していたため、すぐに地震だとわかったと付け加えた。
中国空軍は救助活動を開始し、ドローンを派遣した。
中国の習近平国家主席は、被害をできるだけ抑え、被災者を再定住させるため、全力の捜索救助活動を指示した。
ネパールのエベレスト近郊ナムチェ地域の地元当局者はAFP通信に対し、ネパールでも揺れが感じられたが、被害や犠牲者は報告されていないと述べた。
地震のあった地域はインド・プレートとユーラシア・プレートの主要な断層線に近く、地震活動が頻繁に発生している。2015年にはネパールの首都カトマンズ近郊でM7.8の地震が発生。約9000人が死亡し、2万人以上が負傷した。
中国は1950年代にチベットを併合して以来、この地域に対する厳しい統制を続けており、メディアやインターネットのアクセスも制限されている。
ダライ・ラマ14世は1959年にチベットからインドに亡命した。前代のパンチェン・ラマが亡くなった後、チベット亡命政府にパンチェン・ラマの生まれ変わりと認定されたチベット人のゲンドゥン・チューキ・ニマ氏は1996年、6歳の時に中国政府に連行された。その後、中国は独自にパンチェン・ラマを選んだ。
多くの人は、現ダライ・ラマが亡くなった際には、中国がまた独自のダライ・ラマを選ぶと考えている。