ウォールストリート・ジャーナル紙のYaroslav Trofimov外交担当チーフ記者が、12月13日付け同紙掲載の論説‘Has World War Ⅲ Already Begun?’で、「①中・露・イラン・北朝鮮4カ国の枢軸関係は緊密化しており、この4カ国の共生関係は強い、②まだ世界戦争ではなく、代理戦争と言えるが、サイバー攻撃やランサムウェアのような新しいツールを使って、より効果的に西側社会を混乱させている」と注意を促している。要旨は次の通り。
ロシアのラブロフ外相は、「西側諸国は衰退しつつある米覇権にしがみついているが、『自由世界』(ロシア、中国、北朝鮮、イランからなる独裁国家の枢軸に対する彼の呼称)が優位にある」と述べた。西側諸国の指導者たちは、世界は益々対立する二つの陣営に分裂しつつあるというラブロフの見解には大筋で同意している。
これら4カ国の独裁国家がより緊密な関係を築く転機となったのは、2014年のロシアによるウクライナ侵攻だった。西側諸国はロシアに対して穏やかな制裁措置しかとらず、民主国家の弱さをプーチンに知らしめた。
4カ国の絆は、22年のウクライナ侵攻によってさらに強固なものとなった。この戦争でロシアは、中国からの支援と北朝鮮・イランから供給された武器で戦っている。
枢軸国は互いの戦略的能力を補うために高度な軍事技術を共有し始めた。その結果、彼らは各地域でさらに危険な存在となった。
中露は過去の栄光を夢見る大国であり、ウクライナや台湾といった自国の勢力圏を回復しようとしている。独裁国家の結束は、現時点では民主国家の結束よりも強い。習近平は、10月にプーチンと会談した際、第二次世界大戦後の国際システムが崩壊しつつあることを強調した。
22年以降、プーチンは米国とその同盟国を威嚇し、ウクライナ支援を縮小させるために核による恐喝を成功させた。同時に、ロシアの工作員は欧州全土で急速に拡大する暴力キャンペーン(破壊工作、暗殺計画、放火など)を展開し、前例のない規模で軍事産業や通信インフラを攻撃している。
アパスライ北大西洋条約機構(NATO)事務次長(イノベーション、ハイブリッド、サイバー脅威担当)は、「ロシアによるNATO諸国内への攻撃(破壊工作、暗殺計画、放火など)は、冷戦終結後、見たこともないレベルとなっている。サイバー攻撃やランサムウェアのような新しいツールを使って、より効果的に私たちの社会を混乱させている」と述べた。