2025年1月8日(水)

BBC News

2025年1月7日

アメリカの連邦議会は6日、上下両院合同会議を開き、昨年の大統領選でドナルド・トランプ前大統領が再選を決めたと正式に認定した。この日は、トランプ氏の支持者らが暴徒となって議事堂を襲撃してからちょうど4年だった。

大統領選でトランプ氏に敗れたカマラ・ハリス副大統領が、合衆国憲法の規定どおり、この儀式を取り仕切った。

ハリス氏は、議員らが各州の選挙結果を読み上げる間、厳粛な面持ちで下院本会議場の檀上に立っていた。

最終的にトランプ氏の勝利が確認されると、マイク・ジョンソン下院議長(共和党)をはじめ共和党議員らが立ち上がり、長時間にわたり拍手と歓声を続けた。続いてハリス氏が自らの選挙人票の集計を読み上げた際には、議場の民主党側から総立ちの拍手が送られた。

ハリス氏はこの会議を前に、ビデオ声明を発表。「憲法が定める副大統領としての義務を果たし、2024年の選挙結果を認定する」と誓っていた。

「自分の国への愛情、憲法への忠誠、そしてアメリカ国民への揺るぎない信頼に導かれて、この神聖な責務を遂行します」と述べていた。

一方、トランプ氏は自らのソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルに、「議会は今日、選挙での私たちの偉大な勝利を認定する。歴史における大きな瞬間だ」と投稿して祝った。

この日の会議は、2021年1月6日の事件が尾を引いていた。首都ワシントンでは厳重な警備が敷かれ、ジョー・バイデン大統領は4年前のような暴力は繰り返させないと誓った。

ただ、4年前の混乱を思えば、異常なほど平常だった。

4年前のこの日、ワシントンでは、大統領選の勝利を盗まれたと主張するトランプ氏が自らの支持者らを前に「必死に戦え」と演説。同時に、自分たちの主張を「平和的に」伝えるよう呼びかけた。支持者らはその後、議会に移動し、窓ガラスを割って議場に侵入するなどした。

この暴動は300万ドル(約4億7500万円)近い損害を引き起こし、警官100人以上を負傷させ、アメリカ政治に衝撃を加えた。

政権復帰を目指したトランプ氏と支持者らは、暴動とその原因をめぐる物語を劇的に塗り替えようと努めてきた。

昨年10月の大統領選挙運動の集会では、トランプ氏は「悪いことは何もなされなかった」と主張。司法省に訴追され有罪判決を受けた人々を「人質」や「政治犯」と呼んだ。

J・D・ヴァンス上院議員は副大統領候補の討論会で、2020年大統領選におけるトランプ氏の敗北を認めようとしなかった。

2021年1月6日に対する米国民の見方は大きく割れている。米紙ワシントン・ポストとメリーランド大学が共同で昨年1月に実施した世論調査では、国民の4分の1が、連邦捜査局(FBI)によって襲撃が扇動されたとの陰謀説を信じていることが浮かび上がった。民主主義に対する攻撃だったとみなす国民が過半数を占めたものの、共和党員に限った結果では、その割合は18%でしかなかった。

今月20日にはトランプ氏が大統領に就任し、政権2期目が始まる。2020年大統領選での敗北からの見事な政治的復活で、刑事事件で有罪とされた経歴をもつ初の米大統領の誕生となる。

トランプ氏は、議会襲撃事件で有罪となった人々を恩赦すると宣言している。多くについては「不当に投獄されている」とする一方、「数人はたぶん自制できなくなったのだろう」と認めてもいる。

バイデン氏は国民に対し、4年前の出来事を決して忘れないよう訴えている。週末のワシントン・ポストへの寄稿では、「過去を忘れた国は同じことを繰り返す運命にある、という格言を忘れてはならない」と呼びかけた。

これに対し、トランプ政権の与党となる共和党では、新たな上院院内総務のジョン・スーン議員が、前に進みたいとの思いを表明。BBCが提携する米CBSニュースに、「バックミラーを見ていてはだめだ」と述べた。

(英語記事 Harris certifies Trump's US election win, four years after Capitol riot

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c623p0r0wk9o


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