2025年2月17日(月)

BBC News

2025年1月29日

人類滅亡までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」が28日、過去最短の「真夜中まで89秒」となった。前年から1秒進められた。

この時計は、米科学誌「原子力科学者会報(BAS)」が毎年発表しているもの。真夜中の零時を人類滅亡の時とし、世界がそれにどれだけ近づいているか示している。

今年の発表では、核の脅威、生物学や人工知能(AI)の進歩の悪用、そして気候変動が主な要因として挙げられた。

同誌・科学安全保障委員会のダニエル・ホルツ委員長は、今回の秒針の前進は「全世界の指導者への警告」だと述べた。

終末時計は1947年、核戦争の危険性を警告する目的で、米マンハッタン計画で最初の原爆開発に参加した米科学者たちが創設。最初は「真夜中7分前」に設定されていた。

BASは28日の声明で、「時計を真夜中に1秒近づけることで、厳しい警告を発している」と述べた。

「世界はすでに危険な崖っぷちに近づいているため、たった1秒の動きでも極度の危険を示す。逆転が1秒遅くなるごとに、世界的な災害の確率が高まるという明白な警告と受け取るべきだ」

BASは、ロシアの全面侵攻から3年に近づいているウクライナ戦争が「軽率な決定や事故、誤算によっていつでも核戦争に発展する可能性がある」と警告。中東の紛争については、「警告なしに、より広範な戦争に発展する恐れがある」と指摘した。

また、「気候変動に対処するための世界の取り組みの長期的な見通しは依然として厳しい。これは、ほとんどの政府が地球温暖化を止めるために必要な資金調達や政策イニシアチブを実施していないためだ」と述べた。

生物学の分野では、「新興および再興する疾病が世界の経済、社会、安全保障を脅かし続けている」と指摘した。。

また、「昨年、他の破壊的技術の数々が進展し、世界をより危険にしている」と警告した。

「ウクライナや中東では、軍事標的にAIを組み込んだシステムが使用されている。また、いくつかの国がAIを軍に統合する動きを見せている」

そのうえでBASは、「コミュニケーションの生態系を劣化させ、真実と虚偽の境界をますます曖昧にする誤情報や偽情報、陰謀論の拡散が強力な脅威増幅因子となり、こうした危険を大幅に悪化させている」と強調した。

BASはさらに、アメリカと中国、ロシアが「文明を破壊する集団的な力を持っている」と述べ、これら3カ国が「世界を崖っぷちから引き戻す主要な責任を負っている」と付け加えた。

(英語記事 Doomsday Clock moved closest ever to destruction

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cx24pw35epvo


新着記事

»もっと見る