2024年11月23日(土)

風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2009年10月9日

 「極端な言い方をすれば『幼児教育とは躾である』とも言えると思います。躾と聞くと苦痛を伴ったり、動物を調教するかのようなイメージをもたれるかもしれませんが、本来の躾とはそういうものではありません」(天野園長)

 実際に躾という漢字は「身を美しくすること」を意味する国字である。社会との秩序を保ち、他人との交流を円滑に全うするために身につけておくべき考え方や、礼儀作法を教えることこそが本来の意味である。

 「人間は理性とか美意識というものを持って他人や物事に接していける素晴らしい存在だと思います。ただ本能の赴くままに食べたり寝たり、周囲のことも考えずに自分勝手に振舞うだけなら、野生の動物と変わりはありません。人間は自分の“いのち”を維持するためだけに生きるのではなく、理性や美意識によって本能すらもコントロールし、自分の存在に誇りを持ち、心豊かな社会生活を作っていける素晴らしい存在なのです」(天野園長)

 そして、「人間として生まれてきた子どもが、この素晴らしい“人間”という存在になるためには、絶対に教えておかなくてはならないことがある」というのが、風の谷幼稚園の教育の根底を流れる考え方である。

 天野園長は「人間が人間になるための幼児期」という言葉をよく使う。では、幼児期の子どもが、どのような教育を通じて人間になっていくのか。次回から具体的な話も交えながら、『3つの力』について見ていこう。


※次回の更新は、10月16日(金)を予定しております。

風の谷幼稚園
園長・天野優子氏が、理想の幼児教育を実現するためにゼロから建設に乗り出す。様々な困難を乗り越え、1998年に神奈川県川崎市麻生区に開園。「人間が人間らしく、誇りを持って生きていく」ための教育を実践している。

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