2024年10月17日(木)

お花畑の農業論にモノ申す

2024年10月17日

 「スマート農業」を進める日本では、ドローンやAIの農業活用がメディアなどで取り上げられ、「日本の農業技術レベルは高い」と感じている人も多いだろう。たしかに、筆者が東南アジアを訪問すると、農業現場に日本の製品を多く見かける。ただ、そのほとんどがトラクターなどの農業機械である。

北海道で急速に普及が進む自動操舵トラクター(筆者撮影)

 これは、日本農業の技術開発や現場での活用がハードに偏っているという状況を物語っていると言えないだろうか?「農業技術」とは、ソフトとハードがそろって、初めて「最先端」と言えると思う。

 東南アジアの農家は年齢が若いこともあり、農業用アプリを使いこなしている国も多い。アジアの生産現場から日本の農業技術を検証し、今後の農業のあり方を考えてみたい。

生産向上とトレーサビリティ確保へ技術活用する台湾の農業法人

 デジタルトランスフォーメーション(DX)では日本より一歩先を行くと言われる台湾。その首都の台北から車で約1時間もすると、ビニールハウスが続く一帯が現れる。

ずっと続くビニールハウス(筆者撮影)
桃城蒔菜農業生産協同組合代表(ホームページより)

 野菜生産を行う桃城山菜農業生産協同組合だ。この組合は2017年に設立され、14.2ヘクタールの農地と485棟のビニールハウスを持つ大規模法人である。この法人には、アジア生産性機構(APO)の研修の一環で訪れた。

 この法人では、主に葉菜類を21人のスタッフで栽培している。スタッフの年齢は、25~45歳と若い。

 「これは日本製トラクターです」と若い女性の幹部が自慢げに見せてくれた。「このトラクターが作業しやすいようにハウスを設計した」そうだ。「ハウスの幅をトラクターが耕うんしやすいような形状にした」との理にかなった説明だった。

ハウス内で使う日本製トラクター(筆者撮影)

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