続いて見せていただいたチンゲンサイやホウレンソウなど軟弱野菜の調製機械も日本製。大量の収穫物を自動で洗浄する。日本の農業機械に対する信頼は高いようだ。
その一方で、灌水システムなどを管理する制御盤には中国語の記載があり、やはり台湾製の機器も普及しているのが伺える。
最新技術の導入は生産時のものだけではない。販売される野菜のパッケージにはQRコードが貼られ、読み込むと簡単に栽培履歴を閲覧できる。産地や収穫時期が示され、消費者は農作物に関する情報をスマホ一つで得られる。これらのソフトは公的な研究・普及機関が開発し、台湾の生産者であれば誰でも無料で利用できるという。
この法人は、デジタルを使った農作業の変革にも熱心だ。クラウドを使った物流管理システム、生産計画システム、在庫管理システムなどを利用している。DX先進地域だけあってハードだけでなく、デジタル化も進んでいるようだ。
機器を自作し、自らPRするタイの野菜農家
新興国ではあるが農業大国であるタイ。首都・バンコクの北隣ノンタブリー県にある「テムラック有機農園」は、有機野菜やケールなどを栽培しながら、レストランやカフェも経営する。いわゆるタイの6次産業化を進める先進農家だ。
この農園では、化学肥料や農薬を使用しないで野菜などを栽培し、農園の直売所で販売している。有機のサラダ野菜やケールが栽培され、消費者が直接農園に購入しに来るそうだ。ケールは鉢で栽培され、健康に関心の高い富裕層が購入するという。
この経営者は元エンジニアで、見せていただいた灌水システムは自作だ。気温が高くなると灌水は自動で行われる。
政府からの補助はなく、余計なコストをかけないことを徹底しているという。普及組織から「スマートファーマー」(革新技術などを使って自分の経営を改善できる農家で、日本の指導農業士に近い)と認定されて、実証試験なども実施したと話してくれた。