2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2016年9月13日

 ――いままでにないゴルフ施設をオープンしたそうだが。

 「中長期的にみて、ゴルファー人口、来場者を増やすキーワードは、若年層、女性、インバウンド(訪日外国人)だ。そこで、埼玉県吉川市にある江戸川沿いの河川敷に新しいコンセプトのゴルフ場「OUTDOOR SPORTS PARK」を2014年6月にリニューアルオープンした。クラブハウスはできるだけシンプルなデザインにして、風呂場は浴槽なしでシャワーのみ。1階平屋建て施設の屋上に本格的なバーベキューができるようにした。プレースタイルは2部制の18ホールスループレーで9ホールのハーフプレーも可能。すると、平均年齢が一気に約15歳も若返り、女性比率も20%台になり、好評を得ている。 新しい施設を作るには大きな資金が必要だが、こうしたゴルフ場が増えていかないと、ゴルフが国民的スポーツとして普及、定着していかないのではないかと感じている」

訪日外国人ゴルファーは日本人と相いれない

 「インバウンドは、いま韓国だけでなく台湾、中国のプレーヤーが増えている。韓国・台湾などからの客が、夏は北海道、冬は九州のゴルフ場を多く利用する。しかし、インバウンド客を更に多く受け入れるには、例えば、韓国、中国人ゴルファー専用に近いようなゴルフ場が増えないと、対応はできない。日本人の高齢者のゴルファーが減っていく中で、どのようにインバウンドに取り組むかも課題だ。

 しかし、現実的にはゴルファーのコア層は当面団塊世代以上なので、一番大事なプレーヤーであることに変わりはない。これからは様々なタイプのゴルファーをバランスよく広く受け入れられる状態を作ることが肝要で、これは国内ゴルフ場全体も同じだ」

 ――多くのゴルフ場が老朽化してきているが

Stockbyte

 「多くのゴルフ場はオープンして 30年、40年経過し、クラブハウスなど施設、設備の老朽化が進んでいる。これに対応するには、中長期的にみて膨大なコストを必要とする。施設以外にも重要な課題は、温暖化の進行により、多くが使っているベントグリーンの芝の管理が難しくなっている。近年は夏場の高温多湿によりベントグリーン芝が枯れるゴルフ場も多く出てきている。ベント芝はもともと寒冷地型の芝のため暑さには強くない。仮にベントグリーンの芝を暑さに強い芝種に切り替えるとなると、これも膨大なコストがかかる。しかし、こうした対応をしていかないと、目先はしのげても、5年先、10 年先にゴルフ場の価値が下がってしまう恐れがある」

 ――単体のゴルフ場は太陽光発電を取り入れるなどの対応策を取ってきているが

 「赤字経営の状態で何もしないよりは良いと思うが、それだけでは付け焼刃にしかならず、ゴルフ人口の増加にはつながらない。オリンピックでゴルフが競技種目に決まったのは大変良いことだが、日本のゴルフが現状のまま何も変わらなければ、スポーツとしてのゴルフ文化は育たない。ゴルフをスポーツとして、またゴルフ場経営をサービス産業として捉えていない方も多くいる現状で、ゴルフを更に幅広く受け入れてもらうためには、日本全国に様々なスタイルのゴルフ場ができていくことが大切になる。例えば、一流ホテル並みのサービスが受けられるゴルフ場、対極的にカジュアルで気軽にプレーできるゴルフ場などだ」


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