沖縄の人を守った
この日、在沖米軍のトップにあたるニコルソン四軍調整官(中将)は記者会見を開いて地元メディアに事故原因を説明した。それによると、事故を起こしたオスプレイは、沖縄本島東側の海上で、空中給油を受ける訓練をしていた際に、オスプレイのプロペラが給油ホースと接触するトラブルが起きたという。それによってプロペラを損傷したオスプレイは、飛行が不安定になり、住宅地に囲まれた普天間飛行場ではなく、名護市のキャンプ・シュワブに緊急着陸しようとして果たせず、パイロットの判断で、不時着水したという。
「パイロットの判断が沖縄の人を守った」「あれだけの損傷で着陸を試みられたのは、オスプレイの頑丈さを物語る」「事故はシステムに関係ないことをもう一度申し上げる」
12月15日付琉球新報によると、集まった記者らを前に、ニコルソン四軍調整官はそう力説してみせ、謝罪の言葉が出たのは、会見の開始から25分経ってから。「誠に遺憾で、申し訳ない思いだ」。記者からの「謝罪はないのか」との問いに引き出される形で述べたという。
ニコルソン四軍調整官は、抗議に訪れた沖縄県の安慶田光男副知事に対しても、「パイロットは住民にも住宅にも被害を与えなかった。パイロットの素晴らしい行動は感謝されるべきだ」とテーブルを叩いてまくし立てたそうだ。
在沖米軍トップの立場としては、事故原因はあくまでも訓練上のトラブルであると強調することで、オスプレイが欠陥機であるかのような報道がされることに釘を差しつつ、被害を最小限にとどめたパイロットの判断をたたえたい気持ちなのであろうが、この対応は事故発生で高ぶっている沖縄県民の感情を鎮めるには効果的ではない。翁長知事は、14日に記者らに対してニコルソン氏の発言について「たいへん高圧的」と表現した。
15日付の沖縄タイムスは「海兵隊撤退に舵を切れ」と題した社説で、ニコルソン氏をこう批判する。
「この発言に見られるのは、典型的な『軍人の論理』『軍隊の論理』である。県を代表して抗議した安慶田副知事に逆ギレしたということは、四軍調整官の資質に著しく欠けることを自ら暴露したようなものだ」