2024年12月14日(土)

70点の育児入門

2017年4月4日

質問:母親の私がアレルギーもちなので、子どものアレルギーが心配です。卵や牛乳、小麦は1歳を過ぎるまであげないほうがいいですか?

答え:赤ちゃんにアレルギー症状がないのであれば、食事制限をする必要はありません。

石橋涼子(いしばし・りょうこ)
東京大学医学部卒業。大学での研修の後、NICU、総合病院、障害児施設などに勤務。1996年からまつしま産婦人科小児科病院(現・まつしま病院)小児科部長、2005年1月に東京・江戸川区小岩に石橋こどもクリニックを開院。

答える人 石橋涼子先生(石橋こどもクリニック院長)

 基本的には子ども自身にアレルギー症状がないのに、食事を制限する理由は何もありません。症状が出る前からの食事制限で将来の発症を予防することはできない、というのが現在の主流な考え方です。

 親と子で体質が似やすいのは確かですが、たとえば親が卵アレルギーだからといって子どもも同じアレルギーが出るとは限りません。卵や牛乳は栄養価が非常に高いので、予防的な制限が栄養バランスに弊害を与えることもあります。皮膚の湿疹などがひどいとか、蕁麻疹が出たということがあれば受診し、必要と判断されれば血液検査をし、結果を見て医師と相談しながら進めたほうがいいと思います。

 「心配なので血液検査をしてほしい」という方もいるかと思いますが、乳児期はなかなかはっきりとした数値が出ないものです。具体的には血液中に含まれるIgE抗体と好酸球の数値が高いとアレルギー体質と判断されるわけですが、小さい子ほど数値は低くなりがちですし、高い数値が出てもアレルギー症状が出ないこともあり、逆に低いのに症状が出ることもあります。血液検査だけで将来の症状を予想するのは難しいのです。

 予防的なアレルゲン除去をすることは難しく、それによる栄養的なデメリットのほうが上回るので、様子を見ながら進めていくのがもっとも理にかなっている、というのがいまの小児アレルギーへの主たるアプローチになっています。

  
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