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2017年8月6日

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林 智裕 (はやし・ともひろ)

ライター

1979年8月21日生まれ。福島県出身。『東電福島原発事故 自己調査報告  深層証言&復興提言:2011+10』(細野豪志・著/開沼博・編)で取材・構成を担当。東日本大震災後は福島県在住のジャーナリストとして、東電原発事故後の福島県の状況やその報道のあり方について『現代ビジネス』『SYNODOS(シノドス)』『ダイヤモンドオンライン』『Wedge Infinity』などに検証記事を寄稿している。その他、世界的な銘酒処として注目され始めている福島県の酒肴を毎月紹介・頒布する『fukunomo(ふくのも)』、地域の魅力やグルメ情報を発信する『福島 TRIP』などのメディアに連載中。『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博・編)ではコラムを執筆した。

カタールで人気を博す福島県産米

 東日本大震災時に多額の支援をしてくださった中東のカタールでは、イベントで振る舞われた福島県産米(猪苗代町産天のつぶ)の評価が非常に高く、積極的な輸入もはじめました。

 カタールでは当初、日本からの輸入食品にはサンプリング調査と日本政府が発行する安全証明書が必要とされていました。

 しかし2016年7月には、同国の保健省(日本の厚生労働省にあたる)が、今後半年間のサンプリング調査で基準値超えの食品が発生しなければ検査と安全証明手続きを撤廃すると決定し、その後当然ながらこれをクリア。

 結果、今年の4月からは中東諸国で最も早くサンプリング検査や安全証明書が完全に不要となり、諸外国と全く変わらない条件で、福島を含む日本からの食品の輸入が障壁無く出来るようになりました。

 カタール国内の大手スーパーマーケット「モノプリ」には今も継続して猪苗代町産「天のつぶ」が並び人気を博し、現地の和食レストランなどでの引き合いも増えてきています。在カタール日本大使館ではナショナルデイ(日本の場合は天皇誕生日)の晩餐会開催の際にも福島県産品をPRするなど、海外での更なる評価向上に引き続き尽力して下さっています。

 なお、この「天のつぶ」は福島県独自の品種で、東日本大震災のあった2011年にデビューしたお米です。最近では珍しくコシヒカリの系統とは大きく離れた血統ですが、大粒でやや淡泊ながらも食材を引き立てじわじわと旨味が広がる上品な味わいは、白身魚や寿司などの和食との相性が抜群です。

 生産地である猪苗代町の農林課によると昨年はカタールの他、同じ中東ではUAE(アラブ首長国連邦)へも輸出されたとのことです。

UAEからの予約注文も順調

 中東への輸出自体が今はまだそれほど大きな物量ではないものの、タイ米などに代表される長粒種のインディカ米が市場の主流である中で、短粒種のジャポニカ米としては猪苗代町の米が現地で最も大きなシェアになっています。

 今年も現時点でカタールとUAE向けの新米の予約注文がすでに順調に入ってきており、今後更なる輸出増加が見込まれています。

 UAEに関しては、駐日大使が今年5月に福島県庁を訪れて内堀雅雄知事と懇談し、福島県産農産物の海外への更なる出荷促進に協力する考えを示すばかりでなく、再生可能エネルギーや医療機器産業などの分野でのビジネスパートナーとしての協力関係づくりにも意欲を示しました。このとき、本国が米を輸入している猪苗代町にも足を運んだとのことです。

 仮に福島を「汚染地」であると見做していたならば、このような対応が出来るはずがありません。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170520-00000382-fminpo-l07

 国内の一部で変わらないままの、イメージばかりが膨らんだ「フクシマ」という思い込みの虚構は、変わりゆく現実の福島の前に、とっくに時代遅れになってきているのです。

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