支持率が低迷するなか、菅政権は必死に政権浮揚を図っている。米国、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールなど9カ国が参加協議しているTPPがそれだ。このままでは貿易の場で日本企業が韓国に追い落とされてしまう。そんな危機感は理解できるが、肝心の農業対策をどうするのか。農業の再生には農業経営の主体を株式会社化し、農地を集約し大規模化することが欠かせないが、そのためには相当な政治力が要る。
菅政権は11年6月をメドにその方向を打ち出すとしているが、その前に政権の命脈が尽きてしまうだろう。政府からの補助を当てにした既存の農業団体はそう踏んで、民主党議員の切り崩しに動いている。
小泉元首相は郵政改革に際し、抵抗勢力を前にがっぷり四つに組み、郵政解散を仕掛けた。菅首相がそこまでの度胸を持っているなら、政局はガラリと変わる。
反対に政権の延命だけを考えて逃げに終始するようなら、11年度の予算関連法案も通らず、政権が自然死する公算が大きいだろう。そう考えているからこそ、日本株が多少持ち直したくらいではグローバルな投資家が日本を見つめる眼差しが和らぐことはない。年末を控えた小春日和の先には、経済と経営の厳冬が予想される。
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