2024年7月15日(月)

WORLD CURRENT

2010年12月22日

 ところが、この日本株買いの中身を詳しく調べてみると、あまり楽観を許さないものであることが分かる。米欧の投資家はブラジル、インド、中国などの株を大量に購入する一方で、日本株など見向きもしなかったが、その結果、全体の運用資産の中に占める日本株の比率が低くなり過ぎてしまったところが多いのだ。これではまずい、ということで円高が一服した局面をとらえて、日本株を買い戻したという次第なのだ。

 この調子では、11年にかけて日本株の持続的な上昇シナリオを描けないのはいうまでもない。そうでなくとも、「菅政権の政策は企業や市場に優しくない」との評価が定着している。一例を挙げれば、サラリーマンの給与の経費控除の見直し。給与所得控除は年収1500万円を超えたら控除額を245万円で頭打ちとし、さらに年収2000万円以上の役員は控除額が段階的に減っていき、4000万円を超えると一律125万円となる内容が、税制改正大綱に盛り込まれた。

 年収1500万円のサラリーマンを高額所得者とみるかどうか、議論のあるところだろう。だが、米欧はおろか他のアジア諸国との競争が熾烈になる中で、そんなことをして、競争力のカギを握る優秀な人材を集めることができるのだろうか。

帳尻合わせの増税

 国と地方を合わせた実効税率が40%と主要国で最も高水準な法人税の引き下げについても、政府はなんとか閣議決定に漕ぎ着けたものの、ここまで議論は非常に難航した。菅政権はたかだか5%の引き下げを唱えただけだが、それに対し予算の財布を預かる財務省が猛烈に抵抗したのだ。そして結果的に、法人税を下げるかわりに、欠損金の繰り越し控除や研究開発減税の縮小を決めている。そのうえ、地球に優しいなどという訳のわからないキャッチフレーズで、石油石炭税(いわゆる環境税)の増税をあっさりと閣議決定しているのだ。企業に厳しい民主党の面目躍如だ。

 当然ながら、菅首相だってこんな企業と投資家の追い出し策を続けたら、肝心の国内雇用がやせ細ってしまうことぐらい、分かっているに違いない。にもかかわらず、数々の増税策を弄しているのは他でもない、財源の裏付けのないマニフェストで約束した子ども手当を実施することを最優先しているからだ。

 もちろん、民主党が少子化対策を掲げるのは間違っていないが、その手段が子ども一人ひとりへのバラマキというのはあまりに貧困な発想だ。

 女性が子供を産んでも働き続けられる環境をつくることが、最重点の政策であるべきなのに、その手立ては講じられていない。都市部を中心に保育園の不足が指摘されている。保育園と幼稚園を一体化すれば良いのだが、それには10年かかるという。ことほど左様に民主党政権にはスピード感がない。一方で、効果の疑わしい子ども手当だけは、着実に出費されていく。その財源の帳尻合わせが、数々の増税メニューなのだ。


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