今回は、集中力について前回からの続きとなります。忘れてしまった方は、ぜひ前回(『今すぐ「集中力」をつける5つの方法』)を読み返してみてください。
集中力がどのようなものか、理解できましたか? 簡単にまとめてみましょう。
① 集中力とはスポットライトのようなものである。
②人は一つのことにしか集中できない。
③ 能動的に自ら集中することが大切である。
④ 人は誰でも、もともと集中する力を持っている。
今回は、集中力を最も必要とし、それを武器にもしている一流スポーツ選手が実践する集中力の高め方についてご紹介します。
私たちメンタルトレーニングコーチは、集中力を説明するとき「フォーカス」「コンセントレーション」「アテンション」という言葉を使います。表現が違うように、その意味や集中力の高め方もそれぞれ異なります。一つずつ見ていきましょう。
「フォーカス」で目標と行動を絞り込む
フォーカスには的を絞り込むという意味もあり、目視した目前の標的やゴール等への局面的かつ短期的な集中から、数か月後の試合に向けたプラン作成、数年後の長期的な目標づくりなど、やるべきことをリストアップして、最終ターゲットまでの行動を絞り込むような作業を表現した言葉です。
フォーカスすることによって集中力を高めていくことは、順を追って行動をシンプルに絞り込んでいくことになり、明確な目標設定は集中力を継続的に高めていくトレーニングとなります。長期的な目標を絞り込み、さらに今月・今週・今日・今の目標と、行動の指標や目的の意識を高めていくことにより、今現在のあり方や取り組みへの集中力を高めているのです。トレーニングの質も、自ずと高くなっていきます。一流スポーツ選手ほど目標設定能力が高いのは、フォーカスする能力が高いためといえます。
ここで、皆さんの今日1日のスケージュールを確認し、優先順位と具体的な行動プランを確認してみましょう。何をどの順番でどう行動すべきかがわかると、自然に集中が高まっていくはずです。さらに、具体的なプランとそのバリエーションや、期限、予期せぬ事態への対処も考えてみてください。目標がしっかり見えてくるでしょう。
「コンセントレーション」でイメージを確認する
コンセントレーションとは、内的な集中(自分の内側への深い集中)に対してよく使われる言葉です。たとえば、目を閉じて自分のベストプレーのイメージをつくったり、過去の試合をイメージのなかで修正したり、呼吸や心臓の鼓動に意識を集中するなど、深く強いリラックスを伴う集中のことです。
一流スポーツ選手たちは、この集中を普段のトレーニングに取り入れ、試合で集中力を高めています。スペインのリーガ・エスパニョーラ最高峰のサッカーチーム、レアル・マドリードのクリスチアーノ・ロナウド選手は、フリーキック前に5歩下がり、呼吸を整え、一点を見つめて集中し、自分の理想的なキックから生まれるボールの軌道をイメージしています。呼吸を整え、一点を見つめ、イメージをつくり、自分が培った集中力を最大に引出しているのです。当然トレーニングの時から準備された動作・手順です。