WEDGE REPORT

2019年11月27日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

NYTimesのデジタル版が絶好調

 新聞メディアが苦戦している中でニューヨーク・タイムズ(NYT)のデジタル版の購読者数が今年の第2四半期末で378万人にまで伸びた。この数字は新聞紙の購読者のピークだった110万部の3倍以上で、現在、紙とデジタルを合わせると470万部になる。

 NYTのトンプソンCEOは25年までにデジタルだけの購読者数を1000万人にすると発表している。これを達成するためには、毎四半期ごとに20万人の純増が必要だが、今の四半期は10数万人しか増えていない。しかし、20年には大統領選挙があるのでニュースに対する需要が増えるし、グローバル戦略を合わせて進めれば達成できるかもしれない。

 売上は5%伸びており、収入の内訳をみると、広告と購読の比率を見ると広告が4割に対して購読が6割と購読が上回っている。またデジタル広告も13.7%増と順調に伸びており、デジタル時代の勝ち組と言える。

 また「ワシントン・ポスト」もデジタル購読者数が170万部と2年前の100万部から大幅に伸ばしている。ポストの業績が改善したのは、アマゾンのCEOである、ジェフ・ベゾスが自己資金で買収したことによるものだ。ベゾスがオーナーになってから、デジタル投資を増やし紙からデジタルへの方向転換がうまく行った。

 その一方で、ロサンゼルス・タイムズやシカゴ・トリビューンなどは部数減に苦しんでいる。ロスタイムズは部数が9分の1にトリビューンは5分の1にまで激減。その中で、ボストンのローカル紙のボストン・グローブがローカル新聞として初めてデジタル購読者数が紙を上回った。

 このほかUSAトゥデーがデジタル一本化するなど、メディアのデジタル化の流れは続いている。一部のデジタル専門メディアがリストラを発表したりしているが、その一方で新規に記者を採用しておりそれほど問題にはなっていない。これからはデジタルが主流と考えていかないと、メディアの経営は大変になるのではないか。そういう意味で、NYTとワシントン・ポストの成功は新聞業界では稀有な例だ。

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