From LA

2020年3月19日

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カリフォルニア州バーバンクのガンショップに並ぶ人々(ZUMA Press/AFLO)

 民主党の大統領候補、バーニー・サンダース氏。初戦の勝利から民主党の方針による中道派ジョー・バイデン氏の一本化で不利な立場にあった。スーパーチューズデーでは大票田のカリフォルニアで勝利したものの全体としては負け、続く選挙戦でも要となるミシガンを落とすなど、「バーニーは終わった」と言われている。

 しかし、本人は民主党本部からの撤退への説得に応じず、最後まで戦うことを表明。米国ではBernie for Broke(バーニーは玉砕覚悟)という言葉が流布するなど、その頑固でブレない姿勢に賛否両論だった。

 世論調査では、バイデン氏に一時は21%もの差をつけられていたのだが、最新のロイターズ/Ipsosによる調査ではその差が9ポイントにまで縮まった。対象は選挙登録を行っている民主党支持者で、バイデン氏の支持率48%に対し、サンダース氏支持は39%。

 とはいえ、3月17日の予備選3州でもイリノイ、フロリダ、アリゾナでバイデン氏が勝利するなど、決してサンダース氏にとって明るい道ではない。獲得代議員数は現時点でバイデン1180、バーニー884で296人の差。

 ただ、予定されていたオハイオ州がコロナウィルスの影響で投票を延期、他の州でも同様に延期が発表されている。これが選挙戦に微妙な影響を与える可能性がある。

 米国では国民健康保険の欠落、貧富の差が大きな社会問題だ。今回のコロナ騒ぎでも、保険がなければウィルス検査が受けられない、もし重症化しても病院に行けない、という不安を抱えている人は多い。そうした層にとって、国民皆保険制度や社会的格差の縮小を唱えるサンダース氏は好ましい存在でもある。

 総論反対、各論賛成の好例ではあるが、実はサンダース氏が主張する政策に対し、多くの民主党支持の米国人は賛同している。キニピヤック大学の調査によると、国民皆保険制度の実施については賛成が58%、反対が32%。独自の環境政策であるグリーン・ニューディールでは賛成86%、反対8%、最低賃金の15ドルへの引き上げは賛成84%、反対14%、大学無償化は賛成76%、反対19%、学資ローンの返済義務の帳消しは賛成79%、反対18%、巨大銀行の再編についても賛成60%、反対40%、有給の産休制度に至っては賛成94%である。

 これを米国人全体を対象とすると、国民皆保険制度は賛成36%に対し反対52%だが、その他に関してはすべて賛成が50%を上回っている。サンダースは社会主義者、と嫌う人は多いが、実際の政策に関しては米国人の多数が支持する内容なのだ。

 ただしコロナ騒動はサンダース陣営にとっては諸刃の剣にもなり得る。元々集会を多く開き、草の根的に展開してきたのがサンダース氏の手法だ。しかし現在50人以上の集会は自粛するようCDCが要請していることもあり、現在集会は行われていない。先日のサンダース対バイデンによる初の討論会も無観客で行われた。これがサンダース氏の選挙戦にストップをかけている。

 一方のバイデン氏はテレビ広告などで「ひとつの民主党」を強調するキャンペーンを展開している。副大統領候補に女性を指名することを確約したり、開かれたリベラルな政党のイメージ作りに躍起になっている。民主党を強調することで、実際には民主党員ではないサンダース氏のイメージが悪化することも狙いだ。また、サンダース氏が提唱する保険制度、環境問題などは今後民主党の方針として取り入れていく余地がある」とサンダース陣営への和解、取り込みにも熱心だ。

 この先どうなるのかはまだわからない。しかしサンダース支持者の中には「イラク戦争に賛成したバイデン氏に票を投じることはできない。本選挙ではトランプ氏に投票する」という意見も出ている。民主党にとって最悪なのは、このままサンダース氏とバイデン氏が最後まで接戦でもつれ込み、結果としてトランプ再戦の手助けになることかもしれない。

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