2024年12月23日(月)

Wedge REPORT

2020年3月27日

(REUTERS/AFLO)

 果たして無事に開幕を迎えられるのか。東京五輪・パラリンピックは1年程度の延期が決まった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、IOC(国際オリンピック委員会)は予定通りの開催を断念。調整を行った上、近々にも新たな大会スケジュールを決定する見込みだが、とにかく難問は山積している。

 現状で予想される新たな日程プランを複数出しながら施設の確保、宿泊及び輸送、スタッフとの契約延長など大会運営の根幹にかかわる事項一つひとつの見直しに日本側は着手。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会が中心となって、これらの〝超難解なパズル〟を何とか組み立てるべく水面下で早くも動き出している。

 日本政府の安倍晋三首相はIOCのトーマス・バッハ会長との電話会談を終え、東京五輪の開催時期について「遅くても21年の夏までに、ということで合意をしたところ」と述べた。今のところ、ちょうど1年延期となる2021年7月末の開催が濃厚とみられている。水泳、陸上の世界選手権とバッティングするが、いずれの大会主催側も要請があれば日程を変更する用意があるとの意思を表明済みだ。

 2021年春の開催説もささやかれているとはいえ、真夏の酷暑を避けられるメリットだけで推し進める考えには同調できない。延期の期間が短ければ短いほど世界には新型コロナウイルスの脅威に対し、まだどうしてもさいなまれそうな雰囲気が漂う。

 実は東京五輪に延期論が飛び交い始めた頃、大会組織委員会やJOC(日本オリンピック委員会)の中からは「1年延期」に難色を示す指摘も少なからず出ていた。その一派が声を大にしながら主張していたプランが「2年延期」である。

 たった1年程度で新型コロナウイルスのパンデミックが沈静化し、WHO(世界保健機構)の終息宣言が見込めるとは到底思えない。だからこそ東京五輪に向けて2年延期の長いスパンを設け、史上最凶ウイルスの完全な撲滅に取り組むべき。あくまでも五輪開催は人類がウイルスとの戦いに勝利してからの話である――。その主張を終始一貫し続けていたのだ。

 延期リミットとされ、最も実現の可能性が高い2021年夏の開催についても専門家の間では「たとえ、この頃であったとしても新型コロナウイルスの世界的に感染リスクが劇的な形で下がるかどうかは非常に不透明で難しい」と分析する向きがくすぶっている。

 これまで2年延期派が懸念していたのは、2021年の春か夏に延期を決めたものの新型コロナウイルスの蔓延が治まらず、結局今年と同じように大会数カ月前で開催断念という最悪の流れにつながってしまうこと。もし、こうなってしまうと今度ばかりは大会の再延期が当然ながら絶望的になる。

 ただでさえ現時点でも東京五輪の延期に伴う莫大な軍資金が必要とされているところに、一度ならず二度までも再延期によって多額のカネを要するとなれば日本はダブルパンチを食らって完全にパンクしてしまう。そういう背景を鑑みれば、東京五輪の2021年大会は開催前に不測の事態が起こったとしても「再延期」はまず不可能で「中止」とせざるを得ない可能性のほうが圧倒的に高いだろう。


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