2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年7月18日

 米ヘリテージ財団のLisa Curtis上席調査研究員が、米印戦略対話の開催に際して、6月12日付で同財団のサイトに掲載された論説で、米印は価値観と地政学的目的を共有し、重要な戦略的パートナーとなりうるが、インドにはインドの立場があるので、米国はインドの立場を理解しつつ、パートナーシップの確立に努めるべきである、と述べています。

 すなわち、最近米印間にはいくつかの問題があるが、両国は民主主義の価値と、中国の台頭に対処し、アフガニスタンの安定化を図るなどの地政学的目的を共有しており、重要なパートナーとなることはほぼ間違いない。

 しかし、米国は、インドが依然として自国を途上国の守護者とみなし、米国の覇権に疑念を抱いていることなどから、両国のパートナーシップには限界があることを認識すべきだ。

 米国は、インドが地域の安全に関する懸念からアフガニスタンに関心を持っていることに留意する必要がある。また、インドは、中国との国境問題の平和的解決を目指し、経済・貿易面における中印関係推進を図る一方で、中国の軍事的台頭を前に、野心的なインド軍の近代化を図っているといった、したたかな外交戦略をとっている。このことを踏まえ、米国は、インドとの間で、慎重に対中政策の調整を図るべきだ。

 一方、インドの対中外交にある程度二面性があるのは理解できるが、インドの指導者は、対中外交の曖昧さゆえに外交が麻痺したり、インドの安全保障に不可欠な戦略上の選択肢を取らなかったりしないよう配慮しなければならない、と論じています。

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 米印は重要な戦略的パートナーとなりうるが、米国はインドの立場を考慮して漸進的アプローチをとるべきで、インドは対中外交の二面性ゆえに、インドにとり重要な戦略的選択をしそびれないよう留意すべきである、というカーティスの議論は、極めて妥当です。


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