2024年4月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年7月18日

 米国が中国を念頭に置いたアジア重視戦略に、当初からインドを明白な形で巻き込むことは、逆効果になりかねません。インドは、中国に明確に対立するような政策を取ることはしないでしょう。ただ、インドにとって中国が潜在的ライバルであることは明らかであり、特にインド洋のシーレーンの確保はインドの安全保障の要です。カーティスは懸念を表明していますが、インドが対中政策でこの視点を見失うことはないと考えられます

 なお、カーティスは、インド議会で採択された原子力損害法の民事責任条項が、米国企業によるインドの民間原子力産業への投資を困難にしており、インド政府は米国の懸念に対応する措置をとるべきである、とも指摘しています。このことは、気にかかります。2008年10月に、米議会が、インドがNPT非加盟国でありながら、米印原子力協力協定を批准したことは、画期的なことであり、米印関係の推進の原動力となりました。詳細ははっきりとは分かりませんが、この問題が解決されることが米印関係の進展にとって重要だと思われます。

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