2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月1日

 米AEIのマイケル・マッザ研究員が、台湾のTaipei Timesに9月20日付で論説を寄稿し、台湾の馬総統が、尖閣問題の解決のために日中台の三者による協議を呼びかけ、資源の共同開発を提案していることについて、この提案は誰にも相手にされないかもしれないが、もし何らかの成功を収めれば、竹島問題にも好影響を与えようし、台湾の国際的発言力にも寄与するであろう、と論じています。

 すなわち、馬総統は、台湾、日本、中国がまず挑発的な行動を差し控え、国際法に従い、行動基準を定め、資源の共同開発を行うことを提案している。馬は、問題を国際的な調停に委ねることさえ提案している。

 現状では、誰もこの提案に乗る当事者は無いだろうが、緊張が緩和して来るにつれて、将来の事件の再発を防ぐことを考えるようになるかもしれない。馬の提案は、その際の一つの出発点となりうる。そして、可能性は極めて低いにせよ、竹島問題解決への手本になるかもしれない。

 アジアの領域問題は、解決が難しい問題だが、台湾が地域において建設的役割を果たす機会を提供しているとも言える。そして、台湾がこの機会を捉えることが出来れば、これは台湾に国際的役割を与えることになるかもしれない、と論じています。

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 筆者自身認めているように、この提案が関係国に受け入れられる可能性は極めて低いと言わざるをえません。中国が、現時点で、台湾にそこまでの政治的役割を与える用意があるとは考えられません。また、日本にとっては、馬総統は公平な第三者ではありません。李登輝元総統は、尖閣は日本の領土であると認めていますが、馬は、従来、尖閣の台湾(中国)帰属を主張しています。また、台湾の人民の間では、馬総統が今回の任期中に、政治的に中国と接近するという危惧はいまだに払拭されておらず、その言動は信頼されていません。


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