国土交通省は通常国会にタクシー業界に対する規制を強化する新法を提出した。
台数増加の著しい地域を国交相が「特定地域」に指定すると、増車や新規参入を制限する内容で、2002年に新規参入を認めるとした自由化路線の方向転換となる。
タクシー規制について、国交省は「自由化によって劣悪な運転手が増えた」(幹部)として、運転手の登録取り消しを厳格にする法改正に取り組んだり、増車ペースを抑える通達を出したりするなど、07年から「行きすぎた規制緩和の是正」(同)を進めてきた。
今回の新法(特定地域一般乗用旅客自動車運送事業適正化・活性化特別措置法案)は道路運送法の原則自由化規定を維持しつつ、例外を設けるのが目的だ。
過去の施策をなかなか否定することのできない役所が、方針転換したことは画期的であり、評価できる側面もあるが、地域性の強いタクシー業界の許認可については、権限を自治体に委ねるよう求める意見もある。
地方分権を進めずに、昔ながらの中央集権で規制を強化することについては、「上手く役所の権限拡大に使われた」(野党議員)との見方が出ている。
【関連過去記事】
・これまでのタクシーなど物流業界に対する規制行政の問題点については、「WEDGE」2008年6月号の「原料高を理由に進む『物流・食品』官製値上げの欺瞞」をぜひご覧ください。