2025年1月10日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2025年1月10日

 今年は戦後80年という世界にとって大きな節目の年を迎える。中国ではここ数年、9月18日(満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日)などの際にナショナリズムが盛り上がることが増えており、SNSの過剰な発達が、国内はもとより日本にとっても「何を引き起こすかわからない不安材料」のひとつとなっている。今年はどのようなことが起きるのだろうか。

2025年に向けて演説する中国の習近平国家主席。日中関係はどうなるか(新華社/アフロ)

観光客は増えるのか?

 2024年12月31日、中国の習近平国家主席は恒例の「新年講話」を行った。その中で国内経済の現状やパリオリンピック(五輪)での中国選手の活躍、グローバルサウスの団結と協力、第14次5カ年計画などについて言及したが、とくに戦後80年についての話はなかった。だが、今月はトランプ氏が米大統領に就任する予定で、米中関係がどのようになるかは中国にとって大きな課題のひとつ。当然、日中関係にもその影響が及ぶことが予想される。

 日中関係については、昨年末に大きな動きがあった。昨年11月30日、日本人の訪中短期滞在ビザの免除が4年8カ月ぶりに再開されたことだ。

 これにより中国側はコロナ禍で停滞した日中の人的交流を活発化させ、ビジネスや観光を盛り上げたいと期待を寄せている。実際、ビザ免除を歓迎する日本人ビジネスパーソンや駐在員は少なくないと思うが、昨年は深圳の日本人学校に通う日本人男子児童が中国人に殺害されるなどの悲しい事件も起きており、現在の日中関係の冷え込み具合を考えると、観光目的の渡航者は少数にとどまりそうだ。

 旅行会社主催のパッケージツアーも増えていない。反スパイ法なども日本人の対中認識に暗い影を落としたままだ。


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