2024年5月22日(水)

BBC News

2024年4月23日

アメリカのドナルド・トランプ前大統領が、不倫相手への「口止め料」の支払いをめぐって業務記録に虚偽記載をした罪に問われれている裁判で、検察は22日に冒頭陳述をし、前大統領が2016年大統領選挙を前に犯罪的陰謀と隠蔽(いんぺい)に関わったと主張した。

トランプ前大統領は、2016年大統領選を前に、かつて不倫関係にあったとされる元ポルノ映画スターのストーミー・ダニエルズ(本名ステファニー・クリフォード)氏に13万ドル(約2千万円)の「口止め料」を支払うよう、当時の顧問弁護士に指示し、これを隠すために業務記録に虚偽の記載をした罪に問われている。大統領経験者が刑事裁判の被告になるのは米史上初めて。

前大統領は、34件にわたる虚偽記載の罪状について無罪を主張し、ダニエルズ氏との性的関係も否定している。

検察はこの日、前大統領の行為について、「単純で純然たる選挙詐欺だった」とニューヨーク州地裁で陪審に説明した。

マシュー・コランジェロ検事は、前大統領の元弁護士で腹心だったマイケル・コーエン氏が前大統領の指示を受け、前大統領の一族企業「トランプ・オーガナイゼーション」のアレン・ワイセルバーグ最高財務責任者(CFO)と協力して「記録を改ざんした」と主張した。

また、ダニエルズ氏への支払いをめぐってコーエン氏が弁済を受けたことを偽装するため、請求書、元帳記入、小切手の3種の記録が改ざんされたとした。

コランジェロ検事は、業務記録ではそうした支払いはコーエン氏への「法的サービス」に対してなされたとされているが、「それらはうそだった」と陪審に説明。

そのうえで、前大統領にはダニエルズ氏との出会いを有権者に知られないよう、口止め料を支払う動機があったと、この事件の核心に迫る主張を展開した。

検察はこの隠蔽工作を選挙妨害とみなすべきだとし、2件目の犯罪になると述べた。これにより、業務記録の改ざんは軽犯罪から重罪に引き上げられるとした。

検察が背景を説明

検察はまた、2016年大統領選の投票日の数週間前に米テレビ番組「アクセス・ハリウッド」のテープが表面化したことが、前大統領の選挙チームをパニックに陥れたと主張した。その中で前大統領は、自分は有名人だから誰とでもセックスできると自慢していた。

コランジェロ検事は、「被告と選挙スタッフは、このテープが特に女性有権者との関係で取り返しのつかない打撃になると深く懸念していた」と主張。テープ表面化の翌日、ダニエルズ氏が前大統領と性的関係をもっていたと訴え出たことで、問題はさらに深刻化したと述べた。

そして、そのことが広く知られれば「選挙運動に壊滅的な打撃を与えることになるため、トランプの指示でコーエンは取引の交渉をした」とした。その際、米誌ナショナル・エンクワイアラーを所有する企業アメリカン・メディアの元トップ、デイヴィッド・ペッカー氏が、コーエン氏と口止め工作について話し合ったとした。

ペッカー氏はこの裁判の最初の証人としてこの日、短時間、証言台に立った。23日にも証言を続ける予定。

弁護士は無罪を主張

トランプ前大統領側もこの日、冒頭陳述に臨んだ。

トッド・ブランチ弁護士は、前大統領が犯罪を犯した事実はなく、選挙に影響を与えようとすることは違法ではないと主張。「完全に無実だ」と強調した。

ブランチ弁護士は、検察にとっての重要な証人となっているコーエン氏について、「前大統領に恨みを抱える信用できない元従業員」との印象を陪審に与えることに注力。「彼は有罪判決を受けた重罪犯であり、自分でもうそつきだと認めている」とした。

同弁護士はまた、ダニエルズ氏にも言及し、前大統領との関係を主張することで「数十万ドル」を稼いだと述べた。そして、同氏が証人として述べることは割り引いて聞くよう陪審に訴えた。

業務記録の虚偽記載の罪状については、前大統領と無関係の「34枚の書類」でしかないと退けた。

前大統領の行為は選挙妨害に当たると検察が主張していることに対しては、仮に前大統領が有権者の投票行動に影響を与えようとしたとしても、違法なことは何もないと強調。「選挙に影響を与えようとすることは悪いことではない」、「それが民主主義だ」と訴えた。

ニューヨーク市マンハッタンの法廷で開かれているこの裁判は、現在第2週に入ったところで、今後6週間近く続くとみられている。

(英語記事 Trump trial: Prosecution say hush money was 'pure election fraud'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c80z4wezj16o


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