2024年4月11日付の英フィナンシャル・タイムズ紙の社説が、米英豪の安全保障枠組みAUKUS(オーカス)は勢いを増し支持者も増え、インド太平洋の戦略バランスを維持する上で歓迎されるものであると述べている。
21年に発表されて以来、AUKUSは批判にさらされてきた。中国は、この豪州・英国・米国の安全保障協定は地域の緊張を高めるものだと主張した。一部の者は、豪州に原潜を提供するという計画は実現が難しいと指摘してきた。
これらの批判にも拘わらず、AUKUSは勢いを増し、支持者も増えている。先週、3カ国の国防相は、日本を新たな軍事技術の開発に参加させることを検討していると発表した。
カナダのトルドー首相も、AUKUSとの関係につき前向きな発言をしている。日本やカナダのAUKUSへの正式加盟は恐らく遠い将来のことだが、両国ともAUKUSを重要な戦略的パートナーと見ている。
中国の主張するAUKUSが地域の緊張を高めたという原因論は、逆である。中国こそ、軍事に資金と資源を投入してきた。また中国は、南シナ海の紛争水域に軍事基地を建設し、フィリピン、日本、インド、台湾等の隣国を威嚇する活動を強化している。
AUKUSは、これら地域の緊張の原因ではない。それは寧ろ、中国の軍事力増強に対して地域の抑止力を回復する努力の一部だ。最も重要な質問は、それが正当化されるかどうかではなく、それが十分であるか、そしてトランプが米国で再び権力を持った場合でも意味を持ち続けるかどうかである。
AUKUSは、北大西洋条約機構(NATO)のような明示的な相互防衛保証を創設するものではない。しかし、それは同志国の間で軍事、技術、戦略の協力を促進するのに役立つ。
豪州が最終的に原潜を取得する道は長く、複雑だ。豪州は、2030年代初頭に米国から中古の原潜を受け取る予定である。原潜は、AUKUS協定の最初で最も重要な柱である。