2024年5月22日(水)

BBC News

2024年5月2日

パレスチナ自治区ガザ地区での戦争をめぐり、学生らがイスラエルなどへの抗議の野営を続ける米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で1日未明、親イスラエル派の覆面集団がパレスチナ支持の学生らに暴力をふるった。警察が介入したが、対応が遅かったと批判する声が上がっている。

親イスラエル派集団と親パレスチナ派の学生の衝突は、1日に日付が変わるころに起きた。州当局と大学幹部は発生後直ちに、抗議の野営地となっているディクソン・プラザに警備員を配置したとしている。

一方、現場にいた人たちは、警察が十分に迅速に行動しなかったと指摘している。学生新聞「Daily Bruin」は「夜遅くになっても(両者の間をとりもつ)動きはなかった」と書いた。

「警察は芝生の端に立っているだけで、我々が助けを求めて叫んでも動こうとしなかった」と、抗議の野営に参加していたグループ「UC Divest at LA」は声明で主張した。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事は、警察の「限定的で遅れた」介入は「容認できない。これについて回答を求める」と述べた。

抗議者たちは親イスラエル派集団の襲撃が始まってから約2時間後に現場を離れ始めた。1日の夜明けごろに警察が現場を制圧し、現在は厳重な警備態勢が敷かれている。

アメリカの大学では、ガザ地区での戦争に抗議する行動が広がっており、ニューヨーク市のコロンビア大学では4月30日、学生が占拠していた建物に警察が突入し、抗議者が排除された

コロンビア大で数週間前から始まった反ガザ戦争デモは、大学の規模や、公立か私立かを問わず、20以上の州の大学で学生らが同様の行動を起こすきっかけとなった。

抗議者たちは大学側に「ジェノサイド(集団虐殺)から資金を引き揚げ」るよう要求。武器製造企業や、イスラエルによるガザ攻撃を支援するその他の産業に大学基金を投資し運用するのをやめるよう訴えている。

パレスチナ支持の抗議者を襲撃

UCLAは1日、ウェストウッド・キャンパスの中央広場で高まる緊張を和らげようと、抗議を休講にする措置を取った。

同大は前日の4月30日、キャンパス内のロイス・ホールの陰に設置されたパレスチナ支持の野営地は、不法集会にあたると宣言した。

親イスラエル派集団はここ数日、この野営地の周辺で親パレスチナ派に対抗するデモを行っている。両者は、バリケードで囲まれた狭い緩衝地帯で隔てられている。

当局は当該エリアの警備を拡大したが、「おおむね平和的な」デモだと認識し、これを妨害することを控えたとしている。

オンラインで見られる動画では、1日に日付が変わるころ、黒い服装に白いマスクを着けた親イスラエル派の大規模集団がパレスチナ支持の野営地に到着し、バリケードを取り除こうとしている様子が確認できる。

夜空には花火や催涙ガスが飛び交った。覆面集団は棒やバットを使って野営地の抗議者を殴った。さらに、催涙ガスやクマ除けスプレーを浴びせ、パレスチナ支持派の看板やボードを破壊した。

親イスラエル派が「エスカレート」

「今夜、彼ら(親イスラエル派)はまったく新しい段階にまでエスカレートし、暴力行為を扇動し始めた」と、パレスチナ支持の学生活動家の1人はBBCに語った。

この学生活動家は、自分たちのグループは数日間にわたり「しつこい」攻撃を受けてきたと訴えた。

パレスチナ支持の学生カイア・シャー氏はロイター通信に対し、友人の1人は「ここにいた時に殴られて、後頭部に大きなたんこぶができた」と語った。

「彼ら(親イスラエル派)がここまでエスカレートするとは思ってもみなかった。私たちの抗議行動が、私たちに対抗する集団の攻撃を受けるなんて。私たちは彼らになにもしていないのに、彼らは私たちを暴力的に傷つけ、私たちに苦痛を与えている」

学生新聞「Daily Bruin」のディラン・ウィンワード記者によると、親パレスチナ派に対抗する集団は「花火やスクーター、水の入ったボトル、催涙ガス」などを投げたり噴射するなどした。

また、大学側が任命した警備チームは緩衝地帯を「安全に維持」できなくなったと考え、衝突が起きる前に撤退したと、ウィンワード氏は述べた。

同紙は、1日の早い時間に記者4人が襲撃者に暴行を受け、スプレーを浴びせられたと、ソーシャルメディアに投稿した。記者は当時、衝突の様子を携帯電話で記録していたという。

UCLAのメアリ・オサコ副学長は1日早朝に「恐ろしい暴力行為」があり、警察やそのほかの第一対応者が野営地に呼び出されたと述べた。

「我々は、この無意味な暴力にうんざりしている。これは終わらせなければならない」

ロサンゼルスのカレン・バス市長は、「まったく忌まわしい、許しがたい」衝突だと非難した。

日中になると、現場には厳重な警備線が敷かれ、一握りの抗議者たちが野営地の防備を固めていた。

夜間の混乱に関わった人々、とりわけ親イスラエル派側の人々のうち何人が、UCLAの現役学生だったのかは今も分かっていない。

米イスラム関係評議会(CAIR)のロサンゼルス支部は、今回の暴力行為は「親イスラエル過激派の暴徒」によるものだと非難した。

また、UCLAは「学生が攻撃に直面することなくガザでのジェノサイド(集団虐殺)に平和的に抗議し続けられる」ようにする必要があるとした。

「もはや言論の自由ではない」

こうした中、ロサンゼルスのユダヤ人連盟は、「学生が危険を感じるような環境が何カ月にもわたってつくられる」ことを容認したとして、UCLAの学長を非難した。

同連盟は、野営地を排除し、UCLAがユダヤ人コミュニティーのリーダーと面会することを要求した。

UCLAの学生イーライ・ツィヴス氏(19)は、暴徒は学生仲間の一員ではないとし、暴徒の行動を非難した。

ただ、結果として警察が出動したことは歓迎すると、BBCに語った。野営地の抗議者を逮捕し、キャンパス内での反ユダヤ主義的攻撃を調査するよう当局に求めているという。

「これはもはや言論の自由の問題ではない」と、この学生は述べた。「彼らは法を破っているので」。

親パレスチナ派の抗議行動は全米に広がり、外部の扇動者たちは関与を拡大しているようにみえる。こうした中、大学の指導者たちに対して親パレスチナ派の抗議行動を抑制するよう求める圧力が強まっている。

ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は1日、コロンビア大で逮捕された約300人のうち数人について、平和的な抗議行動を「利用」した「外部の扇動者」だったと主張した。

(英語記事 UCLA clashes: California governor criticises 'limited and delayed' police response

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c0v0rzzx815o


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