ウォールストリート・ジャーナル紙は、イスラエルとその後ろ盾の米国とイランとの緊張対立が今回のイランのイスラエルに対する報復で高まっているが、さらに高まるならば、これまで極力、巻き込まれないようにして来たペルシャ湾岸のアラブ産油国もどちらに与するか選択を迫られるであろうという解説記事‘Israel-Iran Confrontation Forces Gulf Powers to Choose Sides’を4月16日付けで掲載している。要旨は次の通り。
サウジアラビアをはじめとするペルシャ湾岸のアラブ産油国は米国の地政学上のライバル寄りの立場を取ることを避けて来た。しかし、イスラエルとイランの大っぴらな衝突ではどちらを取るか強いられるであろう。
サウジとアラブ首長国連邦(UAE)は、米国とイスラエルが(イランの)ミサイルやドローンを迎撃するために両国の領空を使用することを拒否しているが、もし、イスラエルとイランの衝突がエスカレートし、米国を巻き込むならば、サウジとUAEは、米軍がこの両国からイランを攻撃することを認めてイランによる報復のリスクを取るか、イランにすり寄って傍観者の立場を取るかの厳しい選択を迫られるであろう。
今のところ、イランは米国を標的とせず、米国もイスラエルの報復に参加しないとは言ってはいるが、(イスラエルと)イランとの直接対決に米国がより深く関与すれば、湾岸協力会議(GCC)諸国が立ち回われる範囲がますます狭まることになる。
これまでGCC諸国は、米国がイランに対して強硬措置を取る場合に降りかかる火の粉への恐れと米国がイランに接近して彼等が米国に見捨てられる恐れとの間で揺れ動いて来ているが、近年、サウジとUAEは、イランとの対立緊張から宥和に舵を切っている。
サウジは、イランに対して経済協力と投資を提案することでイランがガザの衝突をより広範な衝突に転化することを抑止しようとしている。ここ数週間、サウジとUAEの政府関係者は、イスラエルとヒズボラの緊張緩和のためにヒズボラの関係者とも会っている。なお、サウジ政府高官によれば、ムハンマド・サウジ皇太子は、サウジ経済を改革する彼の野心的な計画の妨げになるとして戦争を望んでいない由である。