2024年5月22日(水)

BBC News

2024年5月2日

ヘレン・ブリッグス、環境担当編集委員

アメリカの科学者たちが「自己分解するプラスチック」を開発した。環境汚染の軽減に役立つとしている。

プラスチック素材のポリウレタンは、携帯ケースや運動靴など多くのものに使われている。だが、リサイクルが難しく、最後は埋め立て地に行き着くことが多い。

そんなポリウレタンについて、研究者たちがこのほど、SFのような解決策を考え出した。

プラスチックを食べるバクテリアの胞子を入れ込んだ、自己分解するプラスチックを開発したのだ。

このプラスチックは、耐用年数中は胞子が休眠している。しかし、コンポスト内で栄養物に触れると目覚め、製品を分解し始めるという。

米カリフォルニア大学サンディエゴ校のハン・ソル・キム研究員は、「自然界のプラスチック汚染の軽減」に期待がもてると話す。

このプラスチックは、胞子によって強度が増す利点もあるとされる。

共同研究者のジョン・ポコルスキー氏は、「私たちが開発した処理をすれば、素材はより頑丈になり、耐用年数が延びる」、「そして、それが過ぎた際には、廃棄の方法にかかわらず、環境から取り除かれるようになる」と説明する。

同氏によると、このプラスチックはまだ実験段階だが、メーカーの協力があれば数年以内に現実世界に送り出せるという。

プラスチックに加えるバクテリアは「枯草菌」だ。食品添加物やプロバイオティクス(健康に有益とされる微生物)として広く利用されている。

重要なのは、プラスチックの製造に必要なかなりの高温にも耐えられるよう、枯草菌の遺伝子を操作することだ。

従来のプラスチックに代わる生分解性プラスチックの開発というアイデアに、誰もが納得しているわけではない。プラスチックの使用量を減らす方がはるかに環境によいと主張する科学者らもいる。

プラスチック汚染をめぐっては、カナダで先日まで、国連の会議が開かれていた。将来のプラスチック条約の策定を目指し、汚染追跡の国際的な取り決めに各国が合意することを目指すもので、次回の会議が最終となる。

英ポーツマス大学レヴォリューション・プラスティック研究所のスティーヴ・フレチャー所長は、プラスチック汚染に対する最も効果的な取り組みは、プラスチック生産量の削減について、各国が法的拘束力のある合意をすることだと主張する。

自己分解するプラスチックの開発については、「この種の潜在的な解決策には注意が必要だ。環境に流出したプラスチックはすぐ、理想的に安全に分解されるので、プラスチック汚染についてはあまり気にしなくていいとの印象を与えかねないからだ。だが実際には、大半のプラスチックはそうではない」と話した。

今回の研究は科学分野の学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。

(英語記事 Plastic-eating bacteria can help waste self-destruct

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cjewjrlv828o


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