2024年5月22日(水)

BBC News

2024年5月2日

アリゾナ州上院議会は1日、人工妊娠中絶をほぼ全面的に禁止する160年前の州法を無効とする法案を可決した。知事の署名で成立する。

アリゾナ州が州になる前の1864年に制定されたこの州法は、受精の時点から中絶を禁止するもので、レイプや近親姦の場合でも例外とならない。

アリゾナ州最高裁判所は4月9日、この禁止法が現在でも有効とする判断を示した。民主党はこれを受け、禁止法の無効化に向けて動いていた。

州の下院は先週、禁止法を無効化する法案を僅差で可決。上院での採決では共和党の議員2人も賛成に回り、16対14の賛成多数で可決された。

法案は、ケイティー・ホッブス州知事(民主党)の署名によって成立する。アリゾナ州では2022年、母体の生命が危険な場合を除き、妊娠15週以降の中絶を禁止する州法が成立しており、今後はこの法律が有効となる。ただしこの法律でも、レイプや近親姦の場合は例外とならない。

同州では11月、妊娠24週までの中絶について是非を問う住民投票が行われる予定で、その結果によってはさらに法律が変わる可能性がある。

2022年に「ロー対ウェイド」判決が覆されて以来、共和党が支配する州における同様の投票では、全て「プロ・チョイス(選択支持=中絶権支持)」派が勝利している。

共和党のジレンマ

アメリカの連邦最高裁は2022年、中絶の権利は憲法で保障されているとした「ロー対ウェイド」判決(1973年)を覆した。その結果、州ごとに中絶権が決定できるようになり、アリゾナ州の古い禁止法の復活にもつながった。

しかし、中絶へのアクセスは国民に広く支持されており、連邦最高裁の判決はアメリカ全土で議論を巻き起こした。アリゾナ州でも、中絶に関する住民投票を11月の選挙に合わせて実施し、州内の中絶の権利を拡大しようとする動きが活発化した。

共和党にとって、禁止法は大きな政治的ジレンマをもたらした。州議会議員らは、党の保守的な支持層と、南北戦争以前の法案を非人道的だと批判する穏健な有権者との板挟みになった。それら穏健派は選挙の行方を左右し得る存在だ。

ドナルド・トランプ元大統領や、ダグ・デューシー元アリゾナ州知事といった著名な共和党員も禁止法から距離を置いており、この法律が州の有権者の感覚からずれたものだと示唆した。

今回、共和党から禁止法の無効化に賛成票を投じたショーナ・ボリック議員とTJ・ショープ議員は、同僚議員から「プロ・ライフ(生命支持=中絶反対の意味)」の価値を裏切ったと批判された。

一方ボリック議員は、自身の投票についての説明として、胎児が発育不全となり中絶を受けた自らの経験を語った。その上で、1864年の法律には母体の生命に関する例外規定があるものの、自らの選択肢は利用できなかったかもしれないと指摘した。

ボリック議員は、中絶は「とても大変だった」と述べ、「ロー(判決)以前のアリゾナ州法では、私の命に危険がない場合でも、この医療処置を受けられたのだろうか」と話した。

(英語記事 Arizona Senate votes to repeal 1864 abortion ban

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c51n4l24dlpo


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