2024年10月26日(土)

BBC News

2024年10月22日

イスラエルのイラン攻撃計画に関してアメリカの評価を記した同国の機密文書が流出した。米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は21日、ジョー・バイデン米大統領が「深く懸念している」と述べた。

流出したのは、国家地理空間情報局と国家安全保障局(NSA)のものとされる文書2点。通信アプリ「テレグラム」のイラン寄りアカウントで18日に公開された。

文書の内容は、今月15~16日に入手した衛星情報に基づくものとみられる。

ロイター通信によると、文書の一つは「イスラエル:空軍はイラン攻撃の準備を続け、2回目の大規模な兵力投入演習を実施」と題し、弾道ミサイルと空対地ミサイルの扱いについて書いてある。

もう一つは「イスラエル:ほぼ確実なイラン攻撃のため、 国防軍は重要な弾薬の準備と秘密のUAV活動を継続」と題され、イスラエルのドローン(無人機)の動きについて論じている。「UAV」は無人航空機の意味。

BBCが提携する米CBSは、文書には「トップシークレット」の印が付けられ、機密情報ネットワーク「ファイブ・アイズ」の5カ国(アメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア)で共有できるものだったと報じた。

今回の文書流出については、米CNNと米ニュースサイト・アクシオスが最初に報じた。アメリカが、親密な友好国イスラエルに対してスパイ行為をしていることを改めて示す格好となった。

文書の一つは、イスラエルの核戦力について言及し、予定されている攻撃でそれが使用される可能性はないとしているとされる。イスラエルの核兵器保有は、イスラエルもアメリカも公式には認めていない。

米下院議長が流出を認める

米下院トップのマイク・ジョンソン議長(共和党)は20日、米CNNの番組で、文書が公開されたことを認めた。そのうえで、「流出を非常に懸念している」、「重大な疑惑が生じており、調べが進められている。そのことについて数時間後に説明を受ける」と述べた。

米国防総省は、文書に関する報道を認識しているとする声明を出したが、それ以上はコメントしなかった。

関連する米政府機関やイスラエル政府は、公式なコメントを出していない。

米NSCのカービー氏によると、文書の流出がハッキングによるものか、意図的なリークによるものかはまだ特定できていないという。

カービー氏は21日、これ以上の文書が一般の目に触れる「兆候」はないと説明。バイデン大統領が、文書公開の経緯に関する調査を「積極的に監督」し、「再発防止」対策について説明を受ける意向だとした。

イラン攻撃の計画

文書に記されているもようのイスラエル軍事資産の動きは、今月1日のイランによるミサイル攻撃に対する行動の準備と言われている。イスラエルは数週間前から、いつ、どのように対応を取るかの決定を進めている。イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は、「致命的で正確で驚異的」なものになると警告している。

一方、イラン外務省の報道官は、イランはイスラエルのあらゆる攻撃に対抗するつもりだと述べた。イランは今月1日のイスラエルへの攻撃について、イランが支援するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者のハッサン・ナスララ師をイスラエルが9月27日に暗殺したことへの対応だとしている。

元米情報当局者はBBCに、今回の文書流出について、イスラエルの報復計画の規模を明らかにし、それを妨害する狙いがあったのではないかと述べた。

バイデン氏は18日、イスラエルの計画について「よく理解している」と述べた。

記者から「イスラエルが今イランへの対応として何をしようとしているのか、(中略)そして実際にいつ対応するのか、よく理解しているということか」と問われると、「どちらについてもイエスだ」と答えた。

「説明してもらえるか」という記者の問いかけには、「どちらについてもノーだ」と返した。

(英語記事 Biden 'deeply concerned' about apparent leak of Israel plan to attack IranWhat leaked US assessment of Israeli plans to strike Iran shows)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c89l9eql0e9o


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