2024年12月4日(水)

家庭医の日常

2024年4月29日

病気や症状、生活環境がそれぞれ異なる患者の相談に対し、患者の心身や生活すべてを診る家庭医がどのように診察して、健康を改善させていくか。患者とのやり取りを通じてその日常を伝える。
(taka4332/gettyimages)

<本日の患者>
M.I.さん、40歳、男性、市役所観光課。
Y.I.さん、37歳、女性、小学校教諭、M.I.さんの妻(育児休業中)。

 M.I.さんとY.I.さんは、2022年10月の『妊活する夫婦が知っておくべき健康のこと』で登場した夫婦である。カップルでのプレコンセプション・ケアから始まって、妊娠したY.I.さんに対しても、私は家庭医として診療所チームと産科医とも協力・連携しながら、妊娠中、産前・産後のケアを継続してきた。

 その後、昨年10月に待望の第1子E.I.ちゃんが無事誕生した。それからも、3人は家族ぐるみで私の働く家庭医診療所を利用している。

 今日の受診目的は、Y.I.さんが半年後に育児休業(育休)が終わるのでそれを機にE.I.ちゃんへの授乳を終えたいと夫婦は考えていて、その後のY.I.さんとM.I.さんのアルコールの飲み方を相談したいと受診予約をしてくれた。心優しいM.I.さんは、「妻を一人で禁酒させるのは可哀想」ということで、自分も一緒に禁酒していたのだ。

「先生、厚生労働省のアルコールのガイドラインを見たんですが、分かりにくいですね!」とM.I.さん。

「私もそう思います。関連する新聞記事もウェブで読んだんですが、『で、どうしたら良いの?』って感じです」とY.I.さんが続ける。

「なるほど、あのガイドラインを読んだんですね。確かにアルコールの身体への影響、健康に配慮した飲み方と不健康な飲み方については一般的な項目が書かれていますが、肝心の飲酒量については、疾患別の発症リスクと飲酒量の表があるけれど、その解釈は難しいですね。じゃあまず重要な部分をかいつまんで解説するので、わからなかったら随時質問して下さい」


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