家庭医の日常
「治す医療」から「支える医療」へと転換が進められる中で、その中核を担う家庭医・総合診療医。病気や症状、生活環境がそれぞれ異なる患者の相談に対し、患者の心身や生活すべてを診る家庭医がどのように診察して、健康を改善させていくか。日本の家庭医の第一人者が患者とのやり取りを通じてその日常を伝える。
-
2024/12/01 葛西龍樹
古来、胃や腸の不調は人を悩ませてきた。胃または十二指腸の粘膜に傷が生じて臓器の壁のより深い層まで病変が広がったものが、胃潰瘍と十二指腸潰瘍である。両者を合わせて消化性潰瘍と呼ぶ。2大リスク要因はピロリ菌と非ステロイド性抗炎症薬である。
-
2024/10/26 葛西龍樹
「男性更年期障害」という言葉がメディアなどの影響で多く使われているが、実はほぼ日本だけで言われている名前だ。前立腺肥大症とは違う疾患カテゴリーで、そうした症状に対しては、患者と医者の会話が肝要である。
-
2024/09/27 葛西龍樹
「緩和ケア」と言えば、以前はがんの治療手段がなくなり、増悪するがんによる痛みを「緩和」するためというイメージが強かったが、今では苦しみを予防し軽減するため早期に対処することが推奨されている。
-
2024/08/30 葛西龍樹
肥満症の治療薬に関する臨床研究は、このところかなりの速さで発表されている。特に、以前から2型糖尿病の治療に使われてきた薬が肥満症にも処方できるようになり、注目が高まる。しかし、肥満症治療薬は単なる減量を目指す薬ではなく、副作用は大きい。
-
2024/07/27 葛西龍樹
「“職業ドライバー”約1割が緑内障などと診断」との報道が出たが、それは何を意味するのか。運転手の視野に異常が出てしまえば危険とのイメージもあるが、そう簡単ではない。緑内障の診断や対応の難しさを解説してみたい。
-
2024/06/28 葛西龍樹
「がん検診によって命が救われた」と、メディアなどでしばしばサクセスストーリーが取り上げられるが、乳がんにおいては、そうとばかりは言えない。そこには、乳がんが他のがんとは異なる部分があるための難しさがあり、悩ましい。
-
2024/05/26 葛西龍樹
「高齢者の7人に1人が認知症になる」との報道があった。認知症への介護の体制強化が指摘されるが、もっと焦点があてられるべきは「予防」である。実は小児期・青年期での教育機会や、成人期での生活習慣が高齢になっての認知症発症予防につながる。
-
2024/04/29 葛西龍樹
多くの人が気になるお酒と健康の関係。厚生労働省が初のガイドラインを作成したが、肝心の飲酒量について、どうすれば良いか見えにくい。健康を害さないためにどう飲めばいいのか、家庭医が解説する。
-
2024/03/23 葛西龍樹
喘息の治療で重要な役割を果たすのが口から薬剤を吸い込む吸入薬だが、使う吸入器によっては、1個で二酸化炭素28キログラム、ガソリン車約280キロメートル走行ほどを排出する。こうした環境に配慮した治療を「プラネタリーヘルス」と呼ばれている。
-
2024/02/23 葛西龍樹
長年にわたって医学・医療は極めて客観的かつ実証主義的なアプローチで疾患や健康問題に取り組むことが主流で、人の感情への配慮や人間関係への洞察は置き去りにされてきた。この両方のアプローチをバランスよく両立させるのが家庭医のケアである。
-
2024/01/30 葛西龍樹
がんと診断されてからの数週間の時期は、患者にとって最も大変な時期である。次から次と多くの疑問が湧き上がってくるし、短時間に多くのことを選択しなければならない。この時、家族は何をすべきか。家庭医が解説する。
-
2023/12/28 葛西龍樹
多くの検査をすれば質の高い医療であるかのような幻想をもつ人が多いが、それは必ずしも正しくない。検査をすることのメリットもあれば、デメリットもあることを痛風の診察から見ていこう。
-
2023/11/25 葛西龍樹
慢性不眠症に対し、日本の診療アプローチが諸外国と大きく異なる。日本が睡眠薬を用いた薬物療法が中心であるのに対し、諸外国は認知行動療法をとっている。そこには、日本の保健医療制度と医師の専門教育などかなり複雑な要因が絡んでいるとみられる。
-
2023/10/29 葛西龍樹
新型コロナウイルスの感染症法の分類が季節性インフルエンザなどと同じ5類感染症へ移行したが、引き続きリスクの高い健康問題であり、長期的な対応が必要である。家庭医として受ける患者の疑問や懸念を考えたい。
-
2023/09/26 葛西龍樹
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが引き起こす疾患である。その症状と診断方法、治療はどのようなものなのか。また、どう予防し得るのか。
-
2023/08/25 葛西龍樹
多くの現代人が悩む高血圧に良い運動は何なのか。さまざまな臨床研究がなされているが、その結果に準じた運動をすれば良いわけではない。継続して安全に行うことができるかどうかが極める必要がある。
-
2023/07/26 葛西龍樹
フレイルは、2014年に日本老年医学会が提唱した和製英語で、テレビや新聞で一時期話題になっていたが、10年近くが経過した今も具体的なイメージと重要性が日本で浸透しているかというと、とてもそうはみえない。今でも大事なことなのである。
-
2023/06/24 葛西龍樹
欧米で成人の2型糖尿病に関する新たなガイドラインが示された。日本では、おそらくまだ医師の間でもあまり話題になっていないと思われるが、糖尿病の約9割を占める成人の2型糖尿病の薬物療法は、根本的に大きく変わる可能性がある。
-
2023/05/25 葛西龍樹
食物アレルギーでは、患者である子どもはもちろんだが、家族の苦労や心配も並大抵ではない。医療者は、アレルギー反応を抑える治療にのみ関心がいきがちだが、アレルギーをもつ人とその家族の心理的な負担についても十分な理解とケアが必要だ。
-
2023/04/29 葛西龍樹
喘息は、家庭医の診療で最も頻繁に遭遇する慢性の病気のひとつである。治療というと、発作に対する急性期のイメージが強いが、実は慢性の病気である。日常生活への支障を少なくし生活の質を向上できるか、患者とともに戦略を練ることが重要である。
|
|