レバノンの保健省は21日、首都ベイルート南部の主要政府病院付近でイスラエル軍の空爆があり、子供1人を含む4人が死亡したと発表した。
関係者がロイター通信に語ったところによると、空爆はラフィク・ハリリ大学病院の駐車場を直撃した様子。保健省は24人が負傷したと発表した。
21日夜にはベイルート南部の13カ所で空爆があった。イスラエル軍は、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに関連する施設を攻撃したとしている。
イスラエル軍の報道官は、ベイルート南部の複数地域から離れるよう人々に警告していたが、ラフィク・ハリリ病院は警告地域には含まれていなかった。
事前に発表されていた攻撃目標7カ所があるダヒエ地区の映像には、攻撃が始まると地元住民が車や徒歩で逃げ惑う様子が映っていた。
イスラエル軍が攻撃目標とした場所のうち1カ所は、レバノン唯一の国際空港のベイルート空港から約400メートルしか離れていなかった。
地元メディアは、爆破で吹き飛ばされた空港ビルの窓の様子を伝えた。
イスラエルは、避難勧告を発令して以来、コメントを発表していない。
病院地下にヒズボラの資金とイスラエル
イスラエル軍はまた、ベイルート南部の別の病院の下に隠されていたヒズボラの地下壕を特定したと発表した。
イスラエル国防軍(IDF)のダニエル・ハガリ報道官は、証拠を提示することなく、ハレト・ヒレクのサヘル病院の地下壕に、ヒズボラによるイスラエル攻撃の資金源となっている数億ドルの現金と金塊が保管されていると述べた。
一方、サヘル病院の院長は地下壕の存在を否定し、レバノン軍に調査を求めている。
イスラエルは、ヒズボラに対する軍事作戦を軍事インフラ以外にも拡大しており、同組織の金融ネットワークを標的にしていると発表している。
イスラエルは20日、ベイルート南部の郊外およびレバノン南部と東部で、ヒズボラとつながりのある金融機関の支店を空爆した。
イスラエル軍は、アル・カルド・アル・ハサン協会(AQAH)が保有する資金を標的としたと発表した。AQAHは、ヒズボラの支持が強い地域で一般市民に金融サービスを提供しているが、イスラエルとアメリカは、同協会がヒズボラの活動を資金面で支える隠れみのとなっていると非難している。
AQAHやヒズボラは、この件についてコメントを発表していない。
アメリカの中東特別大使がレバノンへ
21日には、戦争終結に向けた交渉の可能性を模索するため、アメリカのエイモス・ホッチスタイン中東特別大使がベイルートに到着した。
ホッチスタイン氏は、アメリカはレバノンでの「早急な」戦争終結を求めていると語った。
また、レバノン南部ではレバノン国軍以外の兵力を認めないとする2006年の国連安保理決議1701は「十分ではない」とし、アメリカはさらに何が必要かを検討していると述べた。
こうしたなか、ヒズボラの戦闘員はイスラエル北部にロケット弾を発射し続けている。IDFの発表によると、21日深夜くまでに170発のロケット弾が国境を越えた。
パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスがイスラエル南部を襲撃した翌日の昨年10月8日から、ヒズボラをハマスを支援するとして、イスラエル北部にロケット弾を発射し始めた。
両国の境界線を越えた戦闘は1年にわたって続いたが、イスラエルは10月以降、ヒズボラに対する激しい空爆作戦と地上侵攻作戦を開始した。イスラエルは、ロケット弾によって避難を余儀なくされた住民数万人の安全な帰還を確保したいとしている。
レバノン保健省によると、同国ではこれまでに2400人以上が殺されており、そのうち1800人は直近5週間で死亡している。イスラエル当局は、イスラエル北部と占領下のゴラン高原で59人が殺されたと発表している。
(英語記事 Lebanon says four dead in Israeli strike near southern Beirut hospital