2024年10月26日(土)

BBC News

2024年10月22日

中国は22日、台湾に最も近い領土で、実弾を使った軍事演習を実施した。1週間前には、台湾を取り囲む大規模な軍事演習を行ったばかり。

中国政府は21日深夜、台湾から約105キロ離れた牛山島の沿海を、22日午前9時からの4時間、軍事演習のために閉鎖すると発表した。

中国が台湾への主張を強めるなか、中国が台湾沿岸で行う軍事演習は近年、規模を拡大している。

台湾の卓栄泰・行政院院長(首相に相当)は22日、地域の安定を脅かすものだとして、中国はこのような演習を行うべきではないと述べた。

「規模にかかわらず、演習を頻繁に行ったり台湾に接近したりすべきではない」と、の卓氏は記者団に語った。「これは不必要な緊張を引き起こすだけだ」。

台湾当局は一連の演習を定期的なものだとしているが、アナリストらは演習地の近さから、おそらく中国がメッセージを送っているのだろうとみている。

また、この演習はより広範な活動の一部でもある。中国は艦船や航空機を定期的に台湾の領土や領空に侵入させる、いわゆる「グレーゾーン戦略」で、長い時間をかけて台湾を弱体化させようとしている。

中国の軍事演習が規模を増すにつれ、台湾の同盟各国、主にアメリカによる軍事演習も活発化している。

アメリカの太平洋艦隊は数十年にわたり、航行の自由を示すため、中国大陸と台湾島の間の台湾海峡を航行する唯一の外国海軍だった。

しかし最近では、カナダ、ドイツ、オーストラリア、日本を含む他の同盟国も、いわゆる「ハイ・ビジビリティー(高視認性)」作戦の一環として、台湾海峡の航行を行っている。

直近では、先週末にアメリカとカナダの軍艦がこの海域を通過した。

アナリストらは、これは中国とアメリカ、双方からのシグナルが強まっていることを意味すると述べている。中国は台湾に対する領有権の主張を強調する一方、アメリカは台湾への支持を明確にしている。

しかし、米政府高官の一人はBBCに対し、アメリカが現在、中東とヨーロッパでの紛争に集中しているだけに、アメリカは北京との緊張をぜひとも和らげたい考えだと語った。

それでも、アメリカに対する長期的な脅威は以前として中国から来ていると、この高官は説明した。

中国政府は14日、陸海空からの攻撃を想定した演習として、軍用機153機に加え、軍艦と海警隊の船舶を過去最多の規模で展開し、台湾を包囲した。

これは、台湾の頼清徳総統が10日の建国記念日(双十節)に行った演説で、「(台湾の)主権に対する併合や侵害に抵抗する」と述べたことを受けた演習だった。

頼氏はまた、中国と台湾は「従属関係にはない」、中国には「台湾を代表する権利はない」とも述べた。

中国は、必要であれば武力で台湾を奪取すると繰り返し宣言している。また長い間、頼氏を台湾独立を唱える「トラブルメーカー」と見なしてきた。

(英語記事 China holds live-fire drills on island closest to Taiwan

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c1m9m79l95ro


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