米共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ前大統領の選挙陣営は22日、イギリスの与党・労働党が米選挙への「露骨な外国による干渉」を行ったとして、米連邦選挙委員会(FEC)に苦情を申し立てた。民主党の大統領候補のカマラ・ハリス副大統領や、副大統領候補のティム・ウォルズ・ミネソタ州知事の選挙運動を、労働党が支援したとしている。
この申し立てでは、労働党とハリス陣営の接触に関するメディア報道や、労働党員によるボランティアと思われる活動について言及。これらが違法な「支援」に相当すると主張している。
BBCは、米大統領選で活動している労働党員らについて、個人の立場で動いていると理解している。
労働党はこの件について公式には反応していない。
トランプ陣営の申し立てでは特に、労働党と関係のある人物がハリス候補の選挙活動のためにアメリカに渡ったという新聞報道が引用されている。
また、この報道からは、「労働党が違法な外国による支援を行い、ハリス陣営もそれを受け入れたという妥当な推論」が生じると主張している。
申し立ては、両者間でやりとりがあり、幹部らが非公開に会ったとする、米紙ワシントン・ポストの報道に触れている。
BBCは、この苦情や、そこで引用されているさまざまな報道について、ハリス候補側の陣営にコメントを求めた。
しかし現時点では、ハリス候補側の陣営が、労働党またはそのスタッフによる取り組みについて認識していたことを示すものはない。
SNSへの投稿も根拠に
トランプ陣営の申し立ては、労働党のスタッフがソーシャルメディア「リンクトイン」に投稿した内容も引用している。それによると、「100人近い」現役および元党員が、アメリカの激戦州に向かうと書かれていた。
同党の運営責任者ソフィア・パテル氏によるこの投稿には、10カ所の「スポット」があり、「私たちが皆さんの宿泊先を手配します」と付け加えられていた。
この投稿はその後、削除されたとみられる。
申し立てでは、2016年大統領選でオーストラリア労働党(ALP)が、バーニー・サンダース上院議員(ヴァーモント州選出)の選挙活動を手伝うために代表団を派遣した国際プログラムとの比較が行われている。
しかし、このときはALPが航空運賃と日当を支払っていた。党とサンダース氏陣営にはその後、それぞれ1万4500ドルの民事制裁金が科された。
一方、英労働党の活動家らの渡米は、同党によって組織されたものでも、資金提供されたものでもないことが、党関係者への取材で明らかになっている。
FECの規定によると、報酬を受け取らない限り、外国人がアメリカで選挙ボランティアとして活動することは許可されている。
また、イギリスの政党関係者がアメリカの政党関係者と連絡を取ることは、通常のことと考えられている。
さらにこうした慣行は、イギリスの保守党とアメリカの共和党の間でも、以前からみられる。
(英語記事 Trump accuses UK's Labour Party of 'foreign interference'