階級を形成する学閥(ハクボル)
階級を形成する別の要因として学閥(ハクボル)もある。
日本の大学入学共通テストに等しい韓国の修能(大学修学能力検定試験)を、金光さんは「中国の高考(ガオカオ)に次ぐ厳しい試験」と記している。
格差が厳しい韓国社会で、下層から這い上がる唯一の手段は学歴。少しでも偏差値の高い学校に入学するため英語などの「先行学習」を幼稚園から開始し、寝る間を惜しんで受験勉強に没頭する。
学閥の頂点がSKY(ソウル大学、高麗大学、延世大学)である。ドラマ『SKYキャッスル』(18)は、高級住宅街のセレブたちが織り成す受験狂騒劇を描いたものだ。
「修能の受験生をパトカーが会場まで送り届けるとか、後輩らが太鼓を叩き受験の応援するとか、ニュース映像で見ましたね」
「今や韓国は、大学卒業は義務教育感覚です。トップはソウル大学の医学部で、
高卒より大卒、地方よりソウル、下町より高級住宅地、といった序列意識の根底に、金光さんは「朝鮮時代の両班(ヤンバン、貴族)制度の名残があるのでは」と言う。
「両班は書物を読むだけの生活。生産活動はすべて労働者に任せ、彼らを下に見る。今でも食堂で働く小母さんや道路工事の小父さんなど労働者は一段下の人間と見なされ、頭脳労働のみが重視されていますからね」
「ウリ(私たちの)」仲間、共同体意識
階級や序列意識がタテの人間関係なら、韓国のヨコの人間関係の特色は「ウリ(私たちの)」仲間、つまり共同体意識の強さである。
「しょっちゅう飲み会の誘いがあります」と、金光さん。男女とも、複数の人数の宴会である。
「飲み会や食事会、カラオケを繰り返し、仲良くなると”ウリ“です。それ以外の人と違ってグッと親しい間柄になるんです」
ウリ関係になると、そこから人脈が広がりビジネスに結びつくことも多い。