「親しき仲には遠慮なし」
その意味では大事な人間関係なのだが、裏に「親しき仲には遠慮なし」の側面も貼りついている。
「韓国人って、疑い深いのにウリ意識が強いから信じやすく騙されやすい。だから詐欺事件が多いんですよね。それがドラマになると、情に厚く義理に薄いこともあって、裏切りや復讐といったテーマに収斂しやすいんです」
裏切りでいえば、女社長の主人公が夫や友人、社員に裏切られる『私のハッピーエンド』(23)がある。復讐ドラマは、タクシー運転手が復讐代行人となる『模範タクシー』(21)や、主人公が学生時代のイジメ相手に次々と復讐を果たす『ザ・グローリー』(22)、それに前述の『財閥家の末息子』など、数え切れないほど本数が多い。
「復讐が韓国ドラマの一大潮流だから、サブタイトルに『なぜ主人公は復讐を遂げるのか』と付けたんですね?」
「はい。階級や序列、ウリ意識などでいろいろ裏切られた人々が、代理満足として、ドラマの中の私的復讐に快哉を叫ぶ。そんな構造が韓国ドラマの背景にあると思います」
金光さんは、日本生まれの日本育ちで、
「当初はソウルで延世大大学院に入られたんですね?」
「延世大学の語学堂(語学学校)を修了して、
とはいえ、「今は友人もたくさんでき、いいパートナーとも出会えて満足」と言う。
「最後に、今年ノーベル文学賞を受賞した作家・漢江(ハン・ガン)の社会的反響は、どのようなものでしょうか?」
「友人たちに片っ端から『おめでとう!』と言ったんですが案外クールでしたね。政治的事件を扱った作品が多いせいか、『本人ではなく、国力が上がったから国が取ったんだ』とか。『左派ロビーが上手に立ち回った』とか。韓国では、ドラマや映画に限らず、