イスラエルは26日、武装組織フーシ派が拠点とするイエメンに空爆を実施した。標的は、複数の発電所や港、首都サヌアの国際空港で、空港内には当時、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長がいたが、無事だった。イスラエルは、フーシ派の軍事目標を狙ったものだとしている。
WHOのテドロス事務局長は、飛行機に搭乗しようとしていたところ、空港が空爆を受けたとソーシャルメディアに投稿した。
「我々の搭乗機の乗務員1人が負傷」し、空港にいた別の2人が死亡したと、テドロス氏は付け加えた。
フーシ派が運営するメディアによると、イスラエルは複数の発電所や港も空爆し、少なくとも3人が死亡、十数人が負傷した。イランの支援を受けるフーシ派は、イスラエルの空爆は「野蛮な」攻撃だとした。
これらの死者が、民間人なのかフーシ派メンバーなのかは分かっていない。
イスラエル国防軍(IDF)は声明で、「複数の戦闘機が、イエメンの西岸と内陸部にあるフーシ派テロ政権に属する軍事目標に対し、情報に基づく空爆を実施した」と述べた。
IDFはサヌア国際空港の「軍事インフラ」や、ヘジャズ発電所とラス・カナティブ発電所、西岸にあるアルフダイダ港、サリフ港、ラス・カナティブ港を標的にしたとしている。
空爆から間もなく、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「我々が任務を完了するまで、イランの悪の枢軸のテロ部門を断ち切り続けていく」と述べ、「(フーシ派に対する攻撃は)まだ始まったばかりだ」と付け加えた。
フーシ派のイエメン最高革命委員会トップ、ムハンマド・アリ・アル・フーシ氏は、イスラエルの空爆は「野蛮」で「好戦的」なものだと述べた。
そして、「アメリカとイスラエルの傲慢(ごうまん)さとの対決」は、パレスチナ・ガザ地区での戦闘が終結するまで続くだろうとした。
サヌアの国際空港に対する空爆で負傷した複数の人が、フーシ派運営の放送局アル・マシーラに語ったところによると、まず滑走路が3度攻撃を受け、管制塔も攻撃されたという。
医師のアッバス・ラジェと名乗る男性によると、男性が勤務する警察病院では、10人の治療にあたったという。このうち1人はすでに死亡していて、別の1人は重体、そのほかの人たちには軽傷や骨折がみられたという。
フーシ派を支援するイランは、空爆は「国際平和と安全に対する、明白な侵害行為」だとした。
フーシ派は、昨年10月にパレスチナ・ガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まったのをきっかけに、イスラエルを攻撃するようになった。ハマスはフーシ派と同様にイランの後ろ盾を受けている。
先週には、フーシ派がイスラエル国内にミサイル攻撃を仕掛け、十数人が負傷した。
イスラエルはフーシ派への報復として、断続的な攻撃を実施している。
今週初めには、イスラエルのイスラエル・カッツ国防相が、イスラエルはフーシ派を「激しく攻撃する」準備をしているとし、フーシ派指導者の「首を切る」と警告した。
フーシ派はイランの後ろ盾を受けた、武装政治・宗教グループ。2015年に、国際的に承認されたイエメン政府を追放して以降、首都サヌアを含むイエメン西部の大部分を支配している。
(英語記事 Head of WHO at Yemen airport during Israeli air strikes)