イギリスの首相官邸は27日、キア・スターマー首相(62)の弟ニック・スターマー氏が26日にがんのため亡くなったと発表した。60歳だった。スターマー氏は「弟のニックは素晴らしい男でした」と追悼の声明を発表した。
スターマー首相はクリスマスの翌日に亡くなった弟について、「彼は人生が投げてくるあらゆる挑戦に、勇気とユーモアをもって立ち向かいました。彼がいなくなって、私たちはとても寂しくなります」と述べた。
スターマー首相は休暇でロンドンを離れる予定だったが、予定をキャンセルしたという。
首相はさらに、「ニックを治療し、世話をしてくれたすべての人々に感謝したい」と述べ、「その人たちの技術と思いやりに非常に感謝しています」と付け加えた。
ニック・スターマー氏は出生時の合併症から学習障害の症状が出るようになり、安定した定職に就くことがなかなかできず苦労していた。
首相の伝記を書いたトム・ボールドウィン氏はBBCラジオ5ライブに対し、イングランド北部リーズの病院に入院していたニック氏のもとを、首相が何度も訪れたと話した。
「(首相は)それをニュース記事にされたくなかったし、(弟の病気を)政治的な得点のために利用していると思われたくなかった」のだとボールドウィン氏は述べた。
「彼はカメラやマイクに囲まれていない状態で、何度もニックに会いに行った。ニックは首相にとって、とても大切な存在だった」とボールドウィン氏は説明した。
ボールドウィン氏による伝記の中でスターマー首相は、弟との関係や、弟が幼いころにどういう苦労を重ねていたかを話している。
「弟が試験を受けたことがあるのかもわからないので、教育を修了したと示せるものが何もない」と、首相はボールドウィン氏に語った。学校で弟はいじめられ、「のろま」「ばか」などとしきりに中傷されていたのだとも話した。
「ニックが生まれた時に与えられた条件は、私とは全く違っていた。そのせいで、私が経験したことのないような問題を、一生抱え続けた」とも、スターマー氏は述べていた。
スターマー首相は9月の労働党大会で演説した際、父親から「お前の弟はお前と同じくらい、たくさんのことをやってのけたんだよ、キア」と繰り返し言われていたと明らかにしていた。
最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、スターマー首相に哀悼の意を伝えた。「本当に悲しい知らせです。特にクリスマスの時期とあって、本当につらい」と彼女はソーシャルメディア「X」に書いた。
(英語記事 Starmer pays tribute to brother who died on Boxing Day )