中国メディアは何を報じているか

2014年2月27日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 反響があまりに大きかったこともあってか張教授は自分の発言の真意が誤解を受けた、と釈明に躍起だ。北京青年報紙が23日に行ったインタビューで張教授は「濃霧を肯定しているわけではない」と訴えた。テレビでは20分の解説番組だったのにPM2.5に言及した2分間の部分だけが取り上げられ、揚げ足を取られているというわけだ。そしてPM2.5の問題そのものについては素人なのでよく分からない、と言い訳している。

 軍人である張教授の言い訳がどのようなものであれ、市民の健康、生命に重大な影響を及ぼす大気汚染を問題として取り上げずに新型兵器と関連付けて技術的原理ばかりを論じたのは配慮を欠いたものだった。

 中国の指導者や軍人、そして国際政治学者などの専門家たちは常日頃から政治を論じる際には大戦略、地政学、外交・世界戦略など大きなことを論じ、環境汚染や貧富の格差等には関心が向かない。実際には市民生活に重大な影響を及ぼすPM2.5の問題は単なる市民生活に止まらない国の行く末を左右する国家安全保障における喫緊の課題になっているということに気づいていないかのようである。張教授の発言が引き起こしたちょっとした議論は中国社会全体に広がる夜郎自大(やろうじだい:自分の身の程をわきまえず、自己中心的に大きさを誇示する考え)的考えを露呈したといえよう。


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