ペリー来航から現在まで
アメリカの世紀と日本 黒船から安倍政権まで ケネス・B・パイル(著)、 山岡由美(訳)みすず書房 5280円(税込)
「米国の世紀」とも呼べる20世紀、最もその影響を受けたのは日本だと、歴史・政治学者の著者は述べる。米国人向けに書かれているだけに視点が興味深い。例えば太平洋戦争末期、フランクリン・ローズヴェルト大統領が「無条件降伏」にこだわったことへの是非だ。戦争を長引かせたばかりではなく、占領後は変革を求めつつも、結果的には戦前の保守エリートを復活させた矛盾もある。外交官のジョージ・ケナンは日米関係を「不自然な親密さ」と呼びつつも、苦悩や学びを経てこそ真の「親密」だと指摘する。現在の日米も摩擦を抱えている。それをどう乗り越えていくのか考えさせられる一冊だ。
狭間国家の生きる道
狭間国家の地政学 ロシア近隣国に学ぶ 4つの生き残り戦略 廣瀬陽子 東洋経済新報社 2420円(税込)
ソ連崩壊から35年。本書は旧ソ連諸国に加え、飛び地を含めてロシアと国境を接するポーランドやフィンランドを「狭間国家」と位置づけ、各国がロシアと西側諸国の間で生き抜いてきた戦略を分析する。ロシアは多様な手段で影響力を拡大してきたが、他国にロシアパスポートを取得させて「ロシア化」を図る戦略はしたたかだ。狭間国家から見える教訓は全ての分野で依存先を「複線化」すること。これは大国の狭間で揺れる今の日本にも通じる知恵なのだ。
過去の記録から未来の減災に
日本史を地学から 読みなおす 鎌田浩毅 講談社現代新書 1540円(税込)
災害というと、日常ではない特異な出来事と捉えがちであるが、本書を読むと、これまでいかに日本が災害と付き合い、災害とともに日本の歴史が歩まれてきたかがわかる。驚くべきことに、最古の地震の記録は奈良時代の『日本書紀』に記されており、江戸時代の儒者・新井白石も1707年に起きた富士山噴火のことを的確に記している。これまで過去の日本人が積み重ねてきた記録から、我々は南海トラフ地震や富士山噴火にどのように備えていくのか。歴史は問いかけてくる。
