ドイツの自動車1台当たりの労働費用は世界一
ただしドイツの経済学者たちの間からは、「自動車業界の苦境の最大の原因は、中国からの自動車輸入量の増加ではなく、ドイツの人件費特に社会保険料負担が、他の国に比べて高いことだ」という指摘もある。つまり他国に比べて値段が高すぎるために、車が売れないというのだ。
コンサルティング企業オリバー・ワイマンの調査によると、24年のドイツの自動車業界では、自動車1台の生産に必要な労働費用が3307ドルと世界で最も高かった。これは日本の4.3倍、中国の5.5倍である。
労働費用を高くしているのは、賃金だけではなく、公的年金保険料や公的健康保険料の高さだ。24年のドイツの賃金に社会保険料が占める比率は41.9%だった。また工場で使われる産業用電力の価格も、ドイツでは中国や米国の2倍に達している。
経済学者たちからは、「EUが安易に保護主義的な政策を取るよりも、各国政府が社会保険制度を改革して、企業の社会保険料負担を減らして価格競争力を強化することが先決ではないか」という意見が出ている。ドイツのフリードリヒ・メルツ政権は対中強硬措置を取るように欧州委員会に求めているが、自国産業界の高コスト体質を変えることも重要と言えそうだ。
